赤とんぼの会、凌雲中で認知症劇を初上演

update 2008/2/10 13:56

 「函館認知症の人を支える会『赤とんぼの会』」(佐藤悠子会長、会員190人)はこのほど、函館凌雲中学校で認知症サポーター養成講座を実施した。同会が中学生以下を対象に講座を開いたのは初めて。この日のために制作した認知症の症状や対処法を知ってもらう劇を上演し、生徒たちが認知症への理解を深め、接し方などを学んだ。

 同校2年生が、認知症に対応した市内の高齢者施設を職場訪問したことをきっかけに実現した。講座は2年生77人が、総合的な学習の時間を利用して受講した。

 赤とんぼの会はこれまで、主婦層や民生委員、高校生に対して講座を開いてきたが、中学生に対しては初めて。認知症の患者の多くは会話ができ、情緒や感情もあるが、記憶することが難しく、まだまだ理解されていないことも多いという。理解を得やすいようにと劇を組み込み、台本は佐藤会長が大まかなあらすじを設定した。

 出演者は認知症の女性やその家族、友人ら7人。友人とカラオケに出かけた認知症の女性が行方不明となり、みんなが必死で探すなかを孫に伴われて帰宅する。そこで地域包括支援センターの職員に相談し、デイサービスに通うようになるという内容。

 各場面での細かなせりふはすべて出演者のアドリブ。しかし実体験を踏まえたやりとりはごく自然で、随所に表れる方言は家族の会話そのもの。行方不明になった女性を必死に探す場面では、舞台を飛び降りて客席の生徒に「○○さんを見ませんでしたか?」と必死の形相で聞き回った。

 認知症についての講演では、脳出血やアルツハイマーなどが原因となることや、新しいことを覚えられない、人や物の名前が思い出せないといった症状を紹介。自分が若かった時の気持ちになってしまうことがあり、周囲の人はそれに対して寄り添うことなどを提案した。

 受講した辻村駿君(13)は「自分の祖母も物忘れなどがあるので、予防をするなど手伝えることは力になりたい」。佐藤会長は「今の若い人は核家族化などで高齢者に接する機会が少なく、認知症への理解もされていない。若者にもサポーターを増やすため、今後は他の学校でも開催したい」と話していた。

提供 - 函館新聞社



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