せたな島歌小女性職員殺害、祖父母ら悲痛な声

update 2008/2/1 20:14

 【せたな】いつも病院や買い物に送ってくれた。本当に優しい子だったのに―。せたな町立島歌小の校舎内で31日に起きた女性職員殺害事件。殺害された田村亜衣子さんの祖母ウラさん(86)は悲痛な声を上げた。

 田村さんは3人きょうだいの末っ子。2002年3月、町内の瀬棚商業高校を卒業後、家業の民宿を手伝ったり、町内で清掃などの仕事をしていた。06年4月からは臨時公務補として、母校の島歌小に勤務。毎日、午前7時ごろに出勤して、教職員が全員そろうまでの間に、校舎の除雪や職員室などの掃除をきっちりと終えていた。同11時ごろには帰宅して民宿を手伝ったりもしていた。

 母、祖父母、姉親子の6人暮らし。漁業の傍ら民宿を営む父は、漁が無い冬は埼玉県に出稼ぎに行っている。この日、通院先で悲報を知ったウラさんは「小さいころからわがままも言わず物静かな子だった。まだまだ若くて将来もあるのに…」と言葉を詰まらせた。

 祖父の金重さん(93)も「人の嫌がる仕事も黙々とこなす生真面目な孫だ。知らせを聞いた時は交通事故かと思った。まさか学校で事件に巻き込まれるとは。本当にかわいそうだ」と漏らした。

 住民の多くは「物静かな優しい女の子だった」と口をそろえる。田村さんを良く知る地区の自治会役員(73)も「口数も少なく、派手な服を好むことも無かった。事件に巻き込まれるような理由は何も無いはず。まったく理解できない」と、不安そうな表情で、現場検証が続く学校を見つめた。

 海にせり出す絶壁と、日本海に挟まれた島歌地区は、20戸ほどの民家が肩を寄せ合う小さな漁村。住民の大半が高齢者だ。夏にはなじみの釣り客が、田村さんの自宅をはじめ、3軒の民宿を訪れるが、観光名所や土産物店も無い地区は、冬には厳しい風雪にさらされ、人影もまばらになるさみしい場所だ。

 凶行の舞台になった島歌小学校は4学級の小規模校。1年生と特別支援学級以外は2学年ごとの複式学級。島歌地区から通学するのは、1年生の姉の子供を入れても2人だけ。ほかの子供たちは近隣の漁村から通学してくる。教職員の多くも町の総合支所や商店街がある市街地から通勤している。

 近所の男性(70)は「普段は本当に静かな漁村。朝食時に救急車のサイレンが響いたので驚いた。知らせを聞いた家族と学校に駆け付けると、亜衣子さんが倒れていた。救急隊員が必死に心肺蘇生(そせい)をしていた。こんな小さな集落の学校でなぜこんな事件が」と憤りを隠さない。

提供 - 函館新聞社



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