海を 漁業を知る3年間…乙部中の体験学習 スルメイカや漁や「棒ダラ」加工
update 2008/1/26 07:11
【乙部】故郷の海を語れる大人に―。乙部中学校(豊田收校長、生徒122人)では、生徒に在学中の3年間を通じて、町の基幹産業である漁業を知り、海で活躍する漁業者の思いを感じてもらおうと、生徒全員がスルメイカ漁やスケトウダラの加工に参加するユニークな体験学習を展開している。24日には1年生35人がタラコの塩漬けと町内伝統の味覚の「棒ダラ」の加工を学んだ。同校の取り組みは町内の漁業者も全面的に支援している。
24日は提供された100キロを超えるスケトウダラを使い、漁業者の工藤智司さんが講師となり、「マキリ」と呼ばれる小型の包丁で、生徒たちがスケトウダラを豪快にさばいた。塩だけで漬けたタラコは数日間熟成させ、学校や家庭で試食するという。初めてタラコ加工を体験した沢田生佳さんは「触感が面白かった。上手にできたので家族に味わって欲しい」と笑顔で話した。
また、タラコや内臓を抜いたスケトウダラは棒ダラにするため、針を使いひもを通して、束ね合わせた。校舎のテラスには、体験学習のために整備した専用の魚干し場があり、生徒たちが数匹ずつ束ねたスケトウダラを丹念に並べた。寒風で1カ月ほど干し上げると、風味豊かな棒ダラに仕上がる。
工藤さんは「皆さんのために町内の漁師がたくさんのスケトウダラを提供してくれた。大きくなってタラコや棒ダラを食べた時は、乙部の海を思い出してください」と呼び掛けた。
この漁業体験は、ひやま漁協(乙部町)や乙部漁港を拠点とする乙部船団(松崎敏文船団長)の協力で行われている。1年生はスケトウダラの加工やコンブ養殖、2年生は秋サケ漁、3年生はスルメイカ漁と、3年間を通じて地域の漁業を一貫して学ぶ。豊田校長は「海で頑張る漁業者の姿を知ることで、地域の大人が頼もしく身近な存在になるはず。海のマチ・乙部を巣立ち、世界で活躍する子供たちが、胸を張って乙部の海を語ることができるようになって欲しい」と語る。
2年生の秋サケ漁、3年生のスルメイカ漁では、生徒全員が漁船に乗り組み、沖合の漁場に出る。生徒が乗る漁船や燃料の確保、救命胴衣の手配などの安全対策、教師への加工方法の手ほどきにも、地域の漁業者が出漁の合間を縫って積極的に協力している。
工藤さんは「最近の子供たちは肉中心の食文化に慣れている。漁業体験を通じて、目の前の海で捕れる魚への愛着を深めて欲しい。漁師仲間や後輩の間でも、中学校に協力しようという意識は高まっている」としている。
提供 - 函館新聞社
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