模擬裁判評議/責任能力判断「難しい」

update 2008/1/19 11:04

 2009年5月までに始まる裁判員制度に向け、16日から始まった裁判員6人らによる模擬裁判の判決公判が18日、函館地裁で開かれた。殺人罪に問われた精神疾患の男について、約5時間にわたる評議を経て、「犯行時は心神耗弱状態で、責任能力はあった」と判断、懲役5年(求刑・懲役10年)の実刑が言い渡された。判決後、裁判員からは「医学的なことは難しい」との声も聞かれ、責任能力の判断の難しさが浮かび上がった。

 裁かれたのは、男がレンタカー会社の男性を刺殺したという想定の事件。男は統合失調症を患い、捜査段階の簡易鑑定と起訴後の本鑑定では責任能力の有無が二分していた。17、18両日に検察、弁護側双方の被告人質問や証人尋問などで審理が進められ、この日は有罪か無罪、さらに量刑などを決める評議が行われた。

 午前10時から、法廷とは別室で評議が始まり、事実関係や精神疾患への理解を深めながら議論。争点となった責任能力について、「被告の妄想に基づく行動が正常といえるのか」との意見に対し、「逃走や証拠隠滅など犯行後の行動に合理性も感じられる」、「『カッとなって刺した』という被告の供述は病気以前に短気だったからでは」などと責任能力を認める意見が大勢を占めた。

 量刑については、「病気がなければ無期懲役」「執行猶予を付け、治療に専念すべき」との声も。無記名の投票でも懲役15―3年までの間で意見が割れたが、同種事件の判例や裁判官の意見を踏まえながら、最終的には裁判官ら計9人のうち8人が同5―6年の範囲で落ち着いた。

 閉廷後、裁判員として参加した男性会社役員(68)は「病気の専門用語が分かりづらかった。もっと時間をかけて話し合う時間が欲しい」と注文。また、別の女性会社員は「人を裁くプレッシャーが大きく、長い3日間だった。自分の感情抜きに加害者の事情を公平に判断するのが難しかった」と心身ともに疲れた様子で話した。

提供 - 函館新聞社



前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです