本番さながら裁判員模擬裁判…裁判員制度 導入控え函館地裁

update 2008/1/17 10:21

 一般市民も刑事裁判の審理に加わる裁判員制度が2009年5月までに始まるのを前に、裁判員を選ぶ選任手続きから事件の審理までを行う模擬裁判が16日、函館地裁で始まった。本番を想定した一連の流れを、実際の手続きに即した形で行う同地裁初の試み。函館市や近郊の企業、団体から協力を得て作成した名簿から無作為に裁判員を選任し、18日の判決に向けて3日間連続で審理が行われる。(森健太郎)

 同地裁は計62の法人、団体などの協力を得て、約700人分の候補者名簿を独自に作成。昨年12月上旬に、抽選で選ばれた60人に呼び出し状を郵送していた。このうち、「70歳以上の高齢」「学生で授業を休めない」「家族の介護で離れられない」などとした24人の事前辞退を認め、会社員や無職、漁業者など20代から70代までの男女35人に絞り込んだ。

 審理されたのは、無職の男が借りたレンタカーを返すように迫ったレンタカー会社の男性社員が男に刺殺された事件。弁護側が「犯行当時の精神状態が心神喪失状態だった」と無罪を主張し、被告の刑事責任能力の有無が争点となった。

 午前9時半から、裁判官や検察官、弁護人らによる面接での選任手続きが始まり、裁判長が「審理に参加することに支障はありませんか」などと個別に質問して公正性や諸事情を確認。「急な出張で代替要員がいない」「会長という立場で新年恒例会に出席しなければならない」などの申し出があった4人の辞退を認めた後、コンピューター抽選で裁判員6人を決めた。

 今回、辞退が認められた看護専門学校の女性教員(44)は「裁判参加に学校の了承は得ているが、国家試験を目前に控えた3年生の担任としては、この時期に3日間も拘束されるのはつらい」と真情を吐露。無職の男性(70)は「法律の知識がないのに人を裁くことに重責を感じる。今回は選ばれなかったが、これを機に新聞などで報じられる事件の見方が変わると思う」と話していた。

 午後からは、検察、弁護側双方の冒頭陳述が行われ、選ばれた裁判員6人は熱心にメモを取りながら緊張した面持ちで審理に臨んでいた。2日目の17日には被告人質問や証人質問が行われる予定。

提供 - 函館新聞社



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