改正DV防止法きょう施行

update 2008/1/11 09:01

 配偶者や同居の恋人から受ける暴力防止に向け、「ドメスティックバイオレンス(DV)防止法」の一部改正法が11日に施行される。加害者の接近禁止などを命じる保護命令制度が拡充され、被害者保護が手厚くなる。函館市内のNPO法人(特定非営利活動法人)ウイメンズネット函館(古川満寿子理事長)などに寄せられる相談件数は年間1000件を超え、道南でもDVは後を絶たない。法改正はさらなる被害者救済につながるのか。ポイントや課題をまとめた。

 DV防止法は2001年10月に施行、02年4月から被害者の申し立てで、裁判所が加害者に6カ月間の接近禁止命令や、同居場所から2カ月間の退去命令を発令できる保護命令制度が設けられた。04年12月の法改正では子どもへの接近禁止などが新たに加わった。

 今回の改正法では、生命や身体に危害を及ぼしかねない言葉による脅しを受けた場合も保護命令の申請理由として認められ、電話や電子メール、被害者の親族らへの接近も禁止できる。これまで保護命令の対象は身体的暴力に限られていたが、身の危険を感じさせる脅迫行為による「精神的暴力」も含まれるようになった。

 古川理事長は「体に傷がなくても『殺してやる』などの脅迫や言葉の暴力で精神的に深い傷を負い、うつ状態や過呼吸の症状を訴える女性もいる」と指摘。「身体的暴力が顕著でなくても保護命令の申請が認められるようになるので、これまで以上にDV抑止につながれば」と期待する。一方、加害者対策の強化が盛り込まれなかった点では課題が残る。古川理事長は「加害者に『DVは犯罪』だと認識してもらう仕組みが不十分。暴力を止めさせる加害者への教育プログラムや罰則の強化が必要」と訴える。

 このほか新たにDV防止・被害者保護施策の基本計画策定や、配偶者暴力相談支援センター(支援センター)の設置が市町村の努力義務となった。保護命令の申立書には支援センターや警察署に相談した事実を記載する必要があるため、古川理事長は「市役所や役場などにも支援センターがあれば相談しやすい上、そのまま保護命令を申し立てできる。気軽に行ける相談窓口が多いほど支援につながりやすい」と話している。

 ◆DV相談窓口は次の通り。

 ▼ウイメンズネット函館TEL0138・33・2110(月―金曜午前10時―午後5時)▼渡島支庁(環境生活課・直通)TEL同47・5789(同午前9時―午後5時)▼中央母子自立支援・女性相談室(函館市総合福祉センター内)TEL同27・8041または8042(月―金曜午前9時―午後5時・土曜は正午まで)▼亀田母子自立支援・女性相談室(函館市亀田福祉事務所内)TEL同45・5481(月―金曜午前9時―午後5時)▼家庭生活相談(函館市家庭生活カウンセラークラブ)=女性センター=TEL同23・4188(月・水・金曜午前10時―午後3時、火・木曜午後6時半―同8時半)▼女性の人権ホットライン(函館地方法務局)TEL0570・070・810(月―金曜午前8時半―午後5時15分)▼道立女性相談援助センターTEL011・666・9955(同午前9時―午後5時)▼道警函館方面本部相談センターTEL♯9110(同午前8時45分―午後5時半)※緊急時は110番へ

提供 - 函館新聞社



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