石田さん、ラージボール卓球で元気に

update 2008/1/1 08:44

 卓球のボールを軽く、大きくしたラージボール卓球が誕生して20年。函館市内でも高齢者の生涯スポーツとして普及する一方、健康のため取り組む人も多い。同市大森町のサン・リフレ函館で開かれているサークル「ラージボール健康卓球会」(明石一道会長)では、難病のメニエール病を抱える同市北美原の石田学さん(36)が約1年半のプレーを通じ、少しずつ体が楽になってきているという。「病があっても引きこもりにならず、外に出て良かった。きれいな練習場、良い指導者のおかげ」と喜び、懸命にボールを打ち返している。


 幼いころから体が弱かった学さんは通信制高校を卒業後、手に職をつけようと陶芸の修業などを続けたが、2005年、具合が悪くなりメニエール病と診断された。回転性のめまいが激しく、午前中起きられない生活が続き、通院で平衡感覚を養うリハビリをした。

 06年秋、母和子さん(67)は体の都合で室内でしか運動できない学さんに、サン・リフレ函館で開かれているラージボール卓球講座を勧め、親子で講座に入ることが決まった。ただ、「病を持ち、周りの人と同じように動けるか」という不安が2人にはあった。

 学さんを迎えた講師の笹浪博義さん(68)は卓球指導歴約40年のベテラン。学さんについて「しゃべり方から、何かの病を持っていると思った。最初は何を教えても、うんとうなづくだけだった」と振り返る。まずは学さんに無理をかけず、技術より楽しむことを教えた。学さんは「自分に合った指導を丁寧にしてくれる人がいることがうれしかった」と話す。

 講座は毎週1回2時間。高齢者を中心に約40人が汗を流す。学さんは「これまで人の輪に触れる機会が少なく。大勢の人と活動することが楽しかった」と話す。ラージボールは球の速度が遅く、ラリーが簡単で、脳に与える刺激も学さんに良い快感を与えた。

 また、球を追う若干の首の運動はリハビリと同じような動きで、さらに良い効果となった。3カ月目ぐらいから全時間ラリーを展開できるようになり、周囲からも「上手くなったね」と言われるように。笹浪さんの指導にも「はい」と大きな声で応え始めた。

 講座は06年秋に続き、07年春、同秋の3回通った。3回目の講座終了後に参加者に行ったアンケートで、学さんは初めて自分がメニエール病であり、ラージボールのおかげで体が楽になったことを打ち明けた。笹浪さんは「高齢者にとって卓球は脳神経を刺激し、ぼけ防止につながることは医学会や卓球協会も研究しており、肩こりやぜんそくも治ったという話を聞いたことがあるが、こうした難病から回復する話は初めて」と驚く。

 今は笹浪さんが講師を務め、同講座出身者が結成した同サークルに通う。「自分に合った運動、指導は必ずある。閉じ込まらないで。外に出ると道は開ける」と、親子は声をそろえる。

提供 - 函館新聞社



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