タクシー運転手強殺から1年/捜査難航 有力手掛かりなく
update 2007/12/21 11:56
北斗市のタクシー運転手、八木橋朋弘さん(当時42)が殺害され、売上金などが奪われた強盗殺人事件は、21日で発生から丸1年を迎えた。函館西署などの合同捜査本部はこれまでに、延べ1万9800人の捜査員を投入。現在も専従50人体制で懸命の捜査を続けているが、この1年間で寄せられた情報はわずか70件にとどまり、犯人特定につながる有力な手掛かりは得られていない。捜査本部は「事件解決に向け、ささいな情報でも寄せてほしい」と呼び掛けている。
事件が起きたのは昨年12月21日未明。八木橋さんは同日午前3時半ごろ、北斗市七重浜1の国道227号で、犯行に関与したとされる「最後の客」を乗せ、同4時15分ごろ、七飯町峠下で数分間停車した。近くに八木橋さんの大量の血痕や携帯電話が見つかったことから、八木橋さんはこの時間帯に、この場所で殺害されたとみられる。
その後、犯人が遺体をタクシーのトランクに詰め込み、自ら運転して遺体発見現場の函館港岸壁(函館市港町3)まで運んだ可能性が高い。この間、北斗市東前の国道227号を同4時半ごろ通過し、同岸壁に同5時ごろ到着したことが、タクシーに搭載されている衛星利用測位システム(GPS)の解析結果などで判明している。
捜査本部はこれまで乗車場所、殺害現場、遺体発見現場となった函館、北斗、七飯2市1町の周辺住民の聞き込みを中心に捜査。タクシーの足取りが徐々に明るみに出る一方、犯人像や殺害の動機については絞り込めないままだ。
司法解剖の結果、八木橋さんの遺体には心臓まで達する深い傷のほか、顔や腹など数カ所に刺し傷があった。さらに強奪された売上金も2万数千円と少額で、顔見知りによる「怨恨(えんこん)」との見方は捨てきれない。
一方、これまでの調べで、八木橋さんの携帯電話の通話記録には直前に「最後の客」とみられる人物からの着信は見当たらず、「犯人が運行経路を予測していたり、タクシーを追跡後に先回りして乗車したりするのは考えにくい」(捜査関係者)ことから、「金目当て」による場当たり的な犯行の可能性も色濃く残る。
時は静かに刻み続けるが、残された遺族が背負う悲しみは消えない。事件発生後、毎日欠かさず仏壇に手を合わせるという八木橋さんの父勝信さん(74)は「話せば思い出してしまうから駄目だ」と口を閉ざすが、「あの日から随分と時間が過ぎ、捜査は面倒なことになっていると思うが、一日も早く犯人逮捕を報告できる日が来れば…」と唇をかみしめた。
捜査本部は、引き続き物取りと怨恨の両面から不審人物や捜査資料の洗い直しに全力を挙げているが、依然として遺留品や目撃証言が乏しく、捜査は難航している。事件を風化させないため、捜査本部は21日、函館市の本町交差点などで、事件に関する情報提供を呼び掛けるチラシ入りのポケットティッシュを配布する。
合同捜査本部への情報提供はフリーダイヤルTEL0120・004・179。
提供 - 函館新聞社
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