「非常に重く難しい仕事」…函館市、行革担当理事設置へ
update 2007/12/17 09:40
函館市が第4回定例市議会に提案している、行財政改革などを指揮する特別職「理事」の時限付き設置条例は、13日の市議会総務常任委員会で可決され、19日の本会議でも可決される見通しとなった。理事の任務は「非常に重く難しい仕事」(市幹部)で、委員会審議で続出した疑問や反対意見を、西尾正範市長は重く受け止める必要があるだろう。そして理事の仕事に最終的に責任を負うのは、西尾市長だ。
来年度から5年間での職員650人の削減は、実は今になって出てきた話ではない。具体的な数字や時期が出たのは初めてだが、井上博司前市長の時代に「現在の行財政改革(2005―09年度)での600人削減と合わせ、中長期的には1000人程度を削減したい」との方針を議会に示している。
厳しい財政状況の中、西尾市長は前市長の方針を踏襲、強化したが、その遂行に特別職を置くことは「予想も想定もしなかったこと」と多くの市議は語る。給料を下げることで一定の理解を求めたが、「給料の額の問題ではない。現体制でなぜできないのか」とすぐ追及された。公明党や共産党は市民感覚とのずれを強調した。
また、職員削減による人件費カットを断行するために高給の特別職を置くことは「屋上に屋根をかけるようなもの」と指摘する民間人もいる。
理事の大きな仕事は民間でいうリストラで、責任が付いて回る、いわば「汚れ役」だ。組合や各職場との意思疎通を図りながら削減計画を進めるだけでなく、病院や交通、水道などの企業局の会計の在り方などにもメスを入れなければならない。「そのために一般職では限界があり、特別職でなければならない」と市は説明する。
一方で、一連の改革を成功させると「西尾市長の評価が上がるのではなく、理事の手腕が評価されるという皮肉な結果になることも予想される」(市OBなど)との声もある。成功しても失敗しても、西尾市長にそのまま跳ね返る。
前市長との“庁内対決”を制して8カ月。選挙の余韻が冷めると、いや応なしに重い課題が突きつけられる。今回の理事設置がベストでなくともベターな対応かは、今後の結果を見なければ分からない。そして今回の一件に限らず、人口流出や産業振興など、市の懸案はまだまだ山積している。
提供 - 函館新聞社
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