多い漁船衝突 再発防げ…函館地方海難審判庁が分析集作成
update 2007/3/9 11:24
函館地方海難審判庁(井上卓庁長)は、2001年から05年までの5年間に裁決した漁船関連の海難事故について、実態や原因をまとめた分析集を作成した。同庁が言い渡した裁決のうち、漁船絡みの海難は258件と約8割を占め、道内での漁船事故の多さがあらためて浮き彫りとなった。同庁は「この分析集を教訓に、海難の再発防止に役立ててほしい」と話している。
実態調査は再発防止を目的に、02年度から毎年テーマを変えて実施。今回は例年相次ぐ「漁船関連の衝突海難」に焦点を当て、A4判、カラー21ページにまとめた。海保や漁協など関係機関176団体に随時送付している。
裁決件数は340件。このうち漁船が関連した海難の中で、衝突事故によるものが81件、総船舶数163隻中、漁船が127隻(78%)だった。
海域別では恵山岬から納沙布岬が33件(41%)でトップ。津軽海峡やその東側、西側海域も12件(15%)と多かった。また、貨物船との衝突18件のうち8件(44%)は同海峡周辺で発生。同庁は「津軽海峡は外国大型貨物船の要衝となっている上、毎年6―7月に濃霧が発生し、イカ釣り漁の最盛期と重なるため特に注意が必要」と警鐘を鳴らす。
海難発生時の天候を見ると、意外にも晴れや曇りなど視界良好時に多発していることが分かった。「雨天時に比べ注意力が散漫になり、周囲を一見しただけで他船がいないと思い込んでしまう」(同庁書記課)のが主な要因。当直者が十分な見張りをしていなかったり、居眠りをしたりしたことが原因の海難は半数以上あった。
同課の高田浩樹専門官は「衝突海難は見張りが十分に行われていれば防げたものばかり。前だけでなくきちんと周囲を見渡し、自動操舵(そうだ)やレーダーを過信せず、見張りの重要性を再認識してほしい」と呼びかけている。
分析集は同庁のホームページ(http://www.mlit.go.jp/maia/10zenkoku/1hakodate/hakodate.htm)で公開しているほか、要請があれば分析集を教材に漁協や海運会社などで講習説明会を開くという。問い合わせは同庁書記課TEL0138・43・5045。
提供 - 函館新聞社
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