函館市、合併から3年/「市民全体で我慢必要」
update 2007/12/3 09:29
函館市は2004年12月1日に渡島東部旧4町村と合併し、丸3年を経過した。漁業を基幹産業とする4町村地域が加わり、日本一の沿岸漁業の都市が形成された。ただ、吸収合併された4町村地域の住民からは「水道料金が安くなったこと以外に、合併して良くなったことはない」などの声が聞かれる。だが、4地域にとどまらず、住民が果たせる役割を発揮し、我慢することも必要な時代だ。
4地域の住民の「不満」は大きい。「過疎化に歯止めが掛からず、定住人口を増やしてほしい」(南茅部、35歳男性)、「椴法華という地名がなくなったのが一番寂しい。そのほかに変化はない」(椴法華、65歳女性)、「高速のインターネット通信がなく、営業に致命的」(恵山、50代男性)などさまざま。
合併時に1万7134人いた旧4町村の人口は、今年10月末時点の住民基本台帳で7・2%、1240人減って1万5894人となった。
旧恵山町長を務めた工藤篤さんは「合併するしないにかかわらず、人口減や少子高齢化が進展するのははっきりしていた。これらの問題は日本中の地域が抱えている」と断言する。合併の住民説明会でも、このまま町が存続すれば住民負担の増加などで大変なことになることを訴えたが、なかなか全町民には届かなかったという。高速インターネット環境が整備されない問題も、合併と直接、因果関係はないだろう。
人口が減り続ける中で、地域の活力や住民サービスをどう維持していくかが課題。決定打はないが、旧戸井町長を務めた吉沢慶昭さんは「現状維持を目指したのが合併。地域でできることは地域でやり、我慢するところは我慢する。地域の力で届かない部分を行政が補っていく必要がある。これは全市的に言える」と、住民と行政の役割分担や連携を強調する。
合併4支所の職員は304人から本年度は210人に減った。行財政改革は加速され、今後は支所の5課1教育事務所体制の再編も想定される。そこで「再編されても、支所が担う業務や住民サービスをどう維持していくかが課題」(市役所職員労働組合)だ。職員減で5分かかった待ち時間が10分になるかもしれないが、それは市役所本庁舎でも同じ。
全市的な視点に立った中での4地域の振興は、やはり漁業対策で、西尾正範市長も「水産振興計画の策定や製氷貯氷施設を整備したほか、ガゴメやウニ、コンブなどの増養殖事業など、今後とも進めていく必要がある」と語る。
旧4町村地域の人口減少率や高齢化率は、旧市内より高い。市地域振興室は「一方で、4地域では地域コミュニティーが旧市内より厚い。地域の連帯やコミュニティー維持対策が今後必要になるだろう」と話す。
西尾市長は「漁村が都市のようになる必要はなく、それぞれの独自性を生かしたまちづくりをしていきたい」と語る。行政と住民が連携し、観光と漁業という地域が持つ長所や特性を伸ばし、新市全体の魅力を高めていくことが求められている。
提供 - 函館新聞社
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