「安易な利用」判断難しく…市消防本部 昨年の救急車搬送 最多1人で22回

update 2007/11/7 14:23

 函館市消防本部に昨年1年間で10回以上、救急車の出動要請をした市民は4人で、最多は1人で22回もの搬送があったことが分かった。同本部は「軽微な例での出動要請もある。ただ、ケースは多様で、病気かどうかの最終判断は医師に委ねなければならない」と話し、疑わしくても出動、搬送せざるを得ない状況を説明した上で、「救急講習や広報を通して、市民に適正な利用を呼び掛けていきたい」としている。

 救急搬送は全国的に軽微なケースでの出動や、逆に搬送しなかったことで重症になる事例が問題となっている。

 同本部は「かすり傷程度のけがや風邪による発熱など、自分で通院できるような事例のほか、出血の多さや赤ちゃんのけいれんを見て気が動転した母親など、やむを得ないと思われるケースまでさまざまある」と語る。だが、単純にけがの状態や症状を見て判断するのは難しいという。

 1年間に22回運ばれたのは30代の男性。「持病があり、自宅からの出動要請と店舗など外出先からの要請があり、到着や搬送をして同じ人物と分かった」という。このほか、21回搬送された50代の男性もいる。

道内では、救急隊員が「常習的な利用」とみて通報者を運ばなかったために亡くなったケースもある。奈良県では救急搬送中の妊婦が病院をたらい回しにされた末に流産したり、飲酒後に転倒し、頭を打った男性を救急隊員が軽傷と判断して運ばず、結果的に意識不明となって消防が訴えられた事例もある。

同本部救急課は「歯が痛い、数日前に打った腰が痛い、などの出動では搬送を断ることもある。ただ、腰が痛い、頭が痛いといっても、考えられる病状はさまざまで、一概に『不適切な利用』とは言えない」と語る。

この問題は5日の市議会決算特別委で、井田範行氏(市民クラブ)が取り上げた。市消防本部の昨年1年間の救急搬送人員は1万2705人で、前年とほぼ同じだが、井田氏は「10年前と比較し5割増、20年前と比べ約2倍となっており、タクシー代わりや安易な利用はないか」とただした。同本部はこうした事情を説明、市民に適正な利用を呼び掛けていく考えを示した。

提供 - 函館新聞社



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