第二の故郷で 美しく刀輝く…刀匠・宮入小左衛門行平さん 七飯で初の作品点
update 2007/11/5 11:36
【七飯】長野県坂城町在往の刀匠、宮入小左衛門行平(こざえもんゆきひら、本名・恵)さん(50)と、父で人間国宝だった先代の故行平さんの作品を紹介する「父子北海道展」(七飯町、七飯町教委主催)が12日まで七飯町本町568の町歴史館企画展示室で開かれている。町施行50周年を記念して開催。宮入さんは若いころ、自らを見つめるために同町の牧場で働いていた。「自分の原点がある町で開催でき、恩返しができることはうれしい」と話し、来場を呼びかけている。
父の仕事を見続けていた宮入さんは1976年の高校卒業時、父の仕事を継ぐことを決めていたものの、「自分が刀を作ることの意味は何か」と考えた。自分の思いを高校の恩師に相談したところ、恩師の知人がいる同町東大沼の松田牧場(松田朝冶さん経営)を紹介され、約1年半の間酪農に携わった。
生まれ育った地よりも広大で厳しい自然環境の中、宮入さんは家族が一つになって働くことに感銘を受けた。家業を継ぐ重圧が解かれ、自分の刀作りに対する思いが固まった。
77年帰郷、父に師事。82年に文化庁から作刀の承認を受け、数々の刀展覧会で受賞、2003年には坂城町の無形文化財(工芸技術)の指定を受けた。仕事は精神的極限に達する厳しさが続く。「悩んだとき、七飯に来るとリフレッシュできる。ここは私の第二の故郷、礎がある」と話す。
本道での作品展は初めてで、宮入さんによると道内で現代刀の展示は珍しいという。会場には刀、太刀、短刀、なぎなたなど、行平さんの作品12点と小左衛門行平さんの作品13点の計25点が展示されているほか、制作のしくみを紹介している。
二尺四寸四分(約73センチ)などの長さの刀にある刃文(はもん)は作者の感性が込められ、美しい輝きを放っている。刀と太刀は利用の仕方が違うため、展示は太刀は刃が下向き、刀は刃が上向きと違う。刀を握る柄(つか)、鞘(さや)などの拵(こしらえ)にも特徴が出ている。
小左衛門行平さんは「武器としての美しさという表裏一体を大切にしてきた日本人の心、伝承してきた技術を感じてもらえれば」と話している。
入場無料。開館時間は午前9時から午後5時まで。
提供 - 函館新聞社
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