西尾市長就任半年/西尾カラー徐々に
update 2007/10/29 11:09
函館市の西尾正範市長が就任半年を迎えた。2度の定例市議会を乗り切り、選挙時に掲げた公約では「校長先生の知恵の予算」や子ども未来室など3室設置を実現。東京事務所廃止や商工観光部の再編なども着手し、徐々に、西尾カラーを浸透させている。一方で、助役辞任時に端を発し、市政を揺るがした一連の福祉施設許認可をめぐる問題は、特別委員会で真相究明がされることになった。選挙時の発言でこじれた経済界との関係も、先行きは不透明なままだ。
西尾市長は、4月27日の就任後、工藤寿樹副市長を「必要不可欠な人材」として留任させ、庁内融和を図った。2人目の副市長には、民間出身者で初めてとなる前北ガス函館支店長の谷沢広氏を抜てきし、経済界とのパイプをつなげた。
細かなところでも変化が見られる。外勤先では随行職員を減らし、市民と直接対話する移動市長室では、議会さながらに全部局から出席していた理事者を、教育長や市民部長ら数人に限定。風通しの良い市政を市民にアピールしている。
6月定例会では、公約を中心とした施策の考え方、政治姿勢や選挙時の発言について追及もあったが、信念を押し通し、しんの強さを見せた。ただ、こうした「譲らない姿勢」は、議員の中でも賛否が分かれている。
「過去については、市民の審判が下った」とした福祉施設問題は、依然、火種がくすぶる。特別委設置後、10月5日の記者会見で「一定程度、明らかになることを期待したい」と淡々と述べた。同日夜の移動市長室では、市民から「今ごろになって特別委が設置されるのは、西尾市長があいまいなままにし、市民への説明責任を果たさなかったからだ」と厳しい意見もあった。
また、やや軽率とも言える発言もある。米艦船入港の事前容認や、町会活動をしない職員を昇格させないなどの発言、ある文化関係者の表敬訪問の場では、前市長を蔑視(べっし)する言葉を公然と発したこともあり、これらは庁内外でも波紋を広げた。発言の真意は違うにしろ、中核市市長としての言葉には、一言一言に重みが求められて当然だ。
経済界との関係修復は「西尾市長からのアプローチ(接近)が見られ、一部とは良好。だが、高野洋蔵会頭との修復は険しい」(関係者)という。9月の会見で、会頭続投を問われると「別組織のこと」と前置きして、課題ごとの連携を訴えた。
懸案事項は残るが、西尾市長の手腕は、今後の新年度予算編成や、4月の人事に発揮されることになる。この半年間は、大幅な人事異動をしなかったが、来年3月で定年退職となる総務部長らの後任を含め、どのような人材を充てるかが焦点。また、地方交付税の大幅削減など厳しい財政状況の中で、公約の取捨選択も迫られている。
提供 - 函館新聞社
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