豊かな海へ=再挑戦=…日本海グリーンベルト構想 27日にドングリ種まき
update 2007/10/26 10:51
【上ノ国】植生が失われた海岸にカシワの種子(ドングリ)を町ぐるみで植え続ける上ノ国町の「日本海グリーンベルト構想」。昨年秋には初めて3000個のドングリを植えたが、確認された新芽はわずか40本にとどまった。町はこの失敗を糧に種まきの方法を改良。27日には100人規模の住民が参加して2回目の植え付けを計画し、森林にはぐくまれた豊かな日本海の回復に向けた“再挑戦”がスタートする。
同構想は、江戸時代以降に植生が失われた約20`の海岸に、20年間にわたりドングリや苗木を植える町独自の取り組みで、昨年秋から種まきが始まった。
水産資源の減少が深刻な日本海沿岸では、土砂流出を防ぎ、豊富な栄養分を供給する森林の回復が急務だ。しかし、同町など沿岸市町村は過疎化や財政難に苦しみ、植林に巨費を投じることは困難な状況。このため、少ない資金で長期間継続できる方法として、風よけなどの設備を作らず、ドングリや苗木の自然力を生かした植生回復の手法を取り入れることにした。
しかし、昨秋に植えたドングリは発芽率が1・3%に過ぎなかった。檜山森づくりセンター(下沢孝所長)は、土壌の乾燥やネズミの食害が主な原因とみる。
再チャレンジに向けて町は、市販の紙コップで乾燥や食害からドングリを保護する方法を検討。2個のドングリを入れるコップには穴を開け、水が浸透しやすくした。町産業課の太田昭仁参事は「冬には塩分を含む暴風が吹く海岸沿いでの植生回復は、多くの困難が予想される。失敗を重ねて最良の方法を見つけていきたい」と意気込む。
失敗を知った道南各地の住民からは「植樹に役立てて欲しい」と、カシワやミズナラの苗が相次いで届けられ、工藤昇町長は「賛同の輪が広がったことは心強い。1つの目的に町民や志を同じくする人たちが結集することが最大の目的」と話す。
種まきは漁業者を中心とする「日本海グリーンベルト構想推進協議会」(花田英一会長)が主催。27日午後1時半から小砂子地区で行う。町内で採取したドングリ6000個を国道228号沿いの台地に植える。問い合わせは同課TEL0139・55・2311(内線264)へ。
提供 - 函館新聞社
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