道警函本 科捜研の成田研究員 道警本部長から表彰

update 2007/10/25 11:07

 農薬中毒による自殺や他殺、誤飲事故などの早期解明に役立つ分析方法を研究開発したとして、道警函館方面本部鑑識課科学捜査研究室(科捜研)の成田有史研究員(37)がこのほど、道警本部長から表彰された。業務を通じて研究を重ねた“新たな決め手”の開発に、成田研究員は「巧妙化する犯罪に対抗するには鑑定の高度化は至上命題。今後もさらに技術を高め、事件解決の糸口をつかみたい」と意欲を見せている。

 開発したのは、人体への毒性が強い除草剤成分(パラコート、ジクワット)を人の血液などから抽出する分析方法。除草剤や殺虫剤を使用した事件・事故の捜査で、死因の究明や犯罪の立証に有効な手段の一つとして、法医科学の学会や全国の科捜研から注目を集めている。

 成田研究員は、北海道東海大学院(札幌市)を卒業後、1995年4月に同科捜研入り。火災現場の油性反応や覚せい剤を使用反応など、日常的な鑑識業務に従事しながら、全国で年間約200人の死者が報告されている農薬中毒の研究を進めてきた。

 これまでの可視光線による鑑定方法では分析に長時間を要し、感度も劣る難点があった。成田研究員は希釈した血液をろ過した上で、従来の分析装置を活用することで、1検体当たり約30分という短時間で除草剤の成分を検出する方法を確立した。

 「鑑定には『正確性』と『迅速性』が求められる。その両立が最も難しかった」と成田研究員。これまで1検体につき、3―4時間掛かっていた鑑定時間は大幅に短縮され、検出感度も約10倍に上がったという。

 同科捜研の山形典夫室長は「研究員の向上心や強い信念が画期的な分析方法の開発につながった。今回の研究自体が事件解決に直結するわけではないが、科学捜査の信頼性が高まり、日本の安全・安心の一助となれば」と期待を寄せている。

提供 - 函館新聞社



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