国重文に大谷派函館別院、文化審議会答申
update 2007/10/20 10:23
文化審議会(石沢良昭会長)は19日、函館市元町の真宗大谷派函館別院(梨谷哲栄輪番)の本堂と正門、鐘楼(しょうろう)の建築物3棟を、国の重要文化財に指定するよう渡海紀三朗文部科学相に答申した。本堂は国内最初の鉄筋コンクリート造りで、歴史的な価値が認められた。梨谷輪番(70)は「非常に名誉なこと。二度と燃えない寺院を建てて仏法を残したいという先達の思いを大切に、保存と教化活動に力を入れていきたい」と話している。
「大谷派本願寺函館別院」として、1件3棟が指定された。道内では唯一で、全国で10件が重要文化財指定の答申を受けた。正式決定は12月ごろになる見通し。函館市内の建造物で重要文化財の指定を受けたのは、旧函館区公会堂や函館ハリストス正教会などに続き5件目で計8棟。美術工芸品を含めると7件目となる。
同別院は「東本願寺函館別院」「東別院」などと称される。系譜は16世紀に松前に建立された専念寺で、専念寺の末寺となる箱館浄玄寺が現在の東別院となった。火災を経て現在地へ移った別院は1907(明治40)年、再び大火で焼失。当時の帝室技芸員、伊藤平左衛門9世の設計で15(大正4)年、鉄筋コンクリート造りで本堂を再建した。本堂の正面は幅33bで、正門や鐘楼も続けて建てられた。
同審議会では、鉄筋コンクリート造りの寺院建築の先駆けとなり、耐火建築としてその後の函館市街地の不燃建築物普及の契機となったと評価している。
同別院の宗教法人としての代表は梨谷輪番で、別院住職は京都市に住む大谷演慧(えんねい)さん(93)。大谷住職は宗祖・親鸞の血脈を受け継ぎ、東本願寺の門首代行も一時務めた。
同別院は1989年に市から伝統的建造物の指定を受けている。国の重要文化財に指定されると、国の補助で建物の修復を行うことができるなどのメリットが得られる。
答申を受け西尾正範市長は「大変喜ばしいことで、函館の魅力を一層引き立ててくれるものと考えている」とのコメントを発表した。
提供 - 函館新聞社
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