乙部町 イカゴロ海中還元、磯焼け対策で初試験

update 2007/10/20 10:22

 【乙部】日本海の磯焼け現象に歯止めを掛けようと、町内の漁業者を中心に、水産加工場で生じるイカの内臓(イカゴロ)を海藻の肥料や魚の餌として海中還元する試験事業が、乙部沖で実施されることが決まった。早ければ月内にも開始される見通しで、19日には町ぐるみで試験を支援する「豊かな浜づくり協議会」(会長・寺島光一郎町長)の設立総会も行われた。

 試験は、ひやま漁協乙部支所を中心に、乙部沖3カ所で実施。冷凍したイカゴロ100キロを金属かごに入れ、深さ10メートルの海底に沈める。「イカゴロが海藻の肥料や魚の餌になっていたことは漁業者の経験則で明らか」(同町)といい、試験では同様の効果を期待している。

 昨年から沿岸でイカゴロによる集魚試験を進める上ノ国町では、油膜拡散やイカゴロが含む重金属による汚染は確認されず、同漁協は「今回も試験に伴う環境への影響は無い」と説明。国と道も19日までに試験の実施許可を町に伝えた。

 日本海では、魚介類や海藻を育てる栄養が減る「貧栄養化」が進行。磯焼け現象も深刻で、漁獲が急減しているスケトウダラの産卵場所の乙部沖では、資源の回復に向けた藻場の育成も緊急課題だ。

 2004年、檜山沿岸8町(当時)はイカゴロの海中還元に向け、構造改革特区による規制緩和を国に申請したが却下され、05年の再申請でも認定は受けられなかったが、国は海中の栄養分を補う「施肥」の実施を初めて容認。これにより昨年、上ノ国町がイカゴロで魚をおびき寄せる集魚試験を開始したが、漁業系廃棄物の投棄につながる試験は多くの制約があり、磯焼け対策からは解離した内容になった。

 寺島町長は協議会の設立総会で「イカゴロの還元を規制する環境行政に風穴を開けた意義は大きい」と評価。同漁協副組合長の阿部一町議会議長も「乙部の漁業者が先頭になって成果を示したい」と意欲を示した。 

提供 - 函館新聞社



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