横津岳の気象レーダーをドップラーレーダーに、突風予測などより詳細に

update 2007/10/14 14:21

 函館海洋気象台は七飯町の横津岳(1167メートル)頂上付近に設置してる気象レーダーを、ドップラーレーダーにする作業を進めている。ドップラーレーダーは集中豪雨、突風の監視・予測能力が向上。極地的な低気圧を観測することで竜巻災害などの防止・軽減が期待されている。レーダーの運用開始は11月15日の予定で、2010年をめどに突風などに対する情報が提供される予定。

 函館の気象レーダーは1962年、本道初として函館山に設置。92年、横津岳山頂付近の1111メートル地点に移設された。

 気象庁では2006年11月に網走管内佐呂間町で発生した竜巻災害などを踏まえ、全国のドップラーレーダー整備を急いだ。函館は同年度の国の補正予算で整備が決まり、ことし9月から工事を開始した。

 作業は冷たい強風の中、地上部でアンテナを組み、クレーンで高さ約30メートルの局舎に設置、ドームで覆う。工事費は約2億円。本道では函館が初めてで、今年度末までに釧路など全国6カ所で整備され、計11カ所となる。

 ドップラーレーダーはドップラー効果を利用。アンテナから半径約250キロの範囲にある粒子に向け電波を発射し、反射して帰ってくる電波の周波数の変化を処理。雨や風の3次元分布データが取得できる。竜巻を直接観測することはできないが、竜巻が発生しやすいと言われる発達した積乱雲の中に存在する局地的な低気圧の渦については観測可能といわれる。

 これまでの突風の予報は「渡島地方では落雷、突風に注意」だが、ドップラーレーダーでは「渡島東部では現在通過中の前線付近で、突風の恐れが高くなっているので警戒が必要」と細かい情報となる。

 渡島や桧山では、昨年10月11日に函館市内で発達した積乱雲からの強い下降流に伴う突風(ダウンバースト)が発生。奥尻島では11月9日に竜巻が発生しているが、ドップラーレーダーからの本格的な予測情報の提供で、迅速な防災対策が可能になりそうだ。

 ドップラー効果 移動する物体が発する電波や音の周波数は、物体の速度に応じて変化する現象。近づいて来る緊急車両のサイレン音は高く聞こえ、遠ざかる時は低く聞こえるのもこの現象だ。

提供 - 函館新聞社



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