神山茂賞に近堂俊行さん/「恵山町史」編さん・執筆

update 2007/10/10 12:23

 社団法人函館文化会(安島進会長)は9日、函館や近郊の郷土史研究の功労者に贈る2007年神山茂賞に函館市高丘町の元教諭、近堂俊行さん(72)が決まったことを発表した。近堂さんは旧恵山町の歩みをつづった「恵山町史」を編集長として11年の歳月をかけて刊行。同町の鉱業について詳述しており、後世に残る貴重な史料であることが評価された。

 同町史は1970年に発行された恵山町の旧名の尻岸内町の町史「尻岸内町史」を全面的に書き換えた内容で、95年から編さん作業を進めた。1483ページのうち近堂さんは約1200ページを執筆。尻岸内町史は年代別で記述されていたが、恵山町史は自然、先史、行政、産業、交通・通信、教育、宗教の7編で構成され、年表も付けている。

 特に産業編では、明治後半から大正前半にかけて採掘されていた古武井地区の硫黄鉱山について詳しく記述。一時期は日本の硫黄輸出の半分を占めていたことなどを文献検証により考究。安東璋二選考委員長は「学術的に高い価値があり、後世に残る貴重な史料となった。近堂さんの努力無しでは町史は実現できなかっただろう」と、功績をたたえた。

 受賞した近堂さんは「地域振興に役立つ一冊として評価された。良い街づくりへの意識作りに役立ってもらえれば」と話している。

 神山茂賞は函館出身の郷土史研究家、神山茂氏(1893―1965年)の業績をたたえ、函館文化会が88年に創設した。函館の文化高揚に貢献する郷土史研究者奨励事業の一つとして、函館や近郊の郷土史について優れた研究、出版など事跡を残した個人、団体を表彰している。89年から昨年までに15個人4団体に本賞、4個人3団体に奨励賞が贈られている。

 表彰式は神山氏の命日にあたる11月7日、函館市末広町4の五島軒本店で開かれる。

提供 - 函館新聞社



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