足かけ7年 地元はウンザリ…出口見えぬ支庁制度改革
update 2007/10/9 14:23
【江差】支庁制度改革をめぐり、桧山支庁存続運動は足かけ7年に及ぶ。この間、道政の担い手は堀達也氏から高橋はるみ知事に移り、道の方針も渡島支庁との統合から、窓口業務だけを行う地域行政センターへの格下げ、さらに支庁制度に代わる「振興局制」の検討と目まぐるしく変遷してきた。この出口の見えない議論が、過疎化に苦しむマチをほんろうし続けている。
9月の第3回定例道議会。支庁問題を担当する江差町の総務政策課政策推進係は、志を共にする留萌市や日高管内浦河町、道議会などを通じた情報収集に追われた。当初は支庁存続に向けて手探りの活動だったが、他の支庁所在地や道議会関係の人脈を着実に作ってきたため、情報収集力は高い。
ただ、係は課長級の参事と主幹3人の小世帯。企画部門として町の“頭脳”を担うが、町内外との折衝や調整は重荷だ。「産業振興や企業誘致など町の浮沈を握る部署が長年、支庁問題など後ろ向きな懸案に縛られているのは町にとって大きな損失」と、ある町議は指摘する。
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江差町は飲食店やサービス業など第3次産業に従事する人の割合が、近隣町の2倍に当たる6割に上る。相次ぐ官公庁の撤退とともに、支庁問題は不況にあえぐ経営者の心理に暗い影を落とす。ある経営者は「案が出るたびに右往左往している。不毛な議論に踊らされている小さなマチの苦悩を考えたことがあるのか。これでは生殺しだ」と憤る。
建設業界からも「町に支庁廃止という負のイメージが定着してしまった。マチの活気が奪われ、停滞感が広がっている。企業の投資意欲はそがれ、不動産評価も下がる」と語る。飲食店経営者も「官官接待の禁止や公務員の給与削減で客足は減った。支庁廃止は追い打ちだ。先行きが見えない中では、店をたたむことも考えなければならない」と漏らす。
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堀前知事の私的諮問機関の支庁制度検討委員会の発足は99年1月。桧山支庁廃止の方向が示されるとともに、町は存続運動を開始。支庁所在地のネットワーク会議も発足した。
高橋道政下でも「支庁制度改革プログラム」「新しい支庁の姿(骨格案)」が矢継ぎ早に公表され、運動は緊迫度を増した。9月の定例道議会では新たに「振興局制」が打ち出されたが、現在の支庁制度や従来案との違い、改革による利点が見えないことに、市町村の反発は強まっている。江差町の担当者は「支庁、行政センター、振興局の違いは何か。道議会や市町村を納得させることができず、看板をすり替えているだけにみえる。強引な改革は地方を疲弊させるだけ」と切実に訴える。
提供 - 函館新聞社
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