坂野正義さんに農林水産大臣賞
update 2007/10/3 11:53
【江差】町内でヒノキアスナロ(ヒバ)の苗木栽培や植林技術の開発に取り組む元林野庁職員の坂野正義さん(72)が2日、本年度の「農山漁村いきいきシニア活動表彰」(農山漁村女性生活活動支援協会など主催)で、最優秀賞の農林水産大臣賞を受賞した。9日には東京の農水省で行われる表彰式に出席、これまで活動成果を発表する。
坂野さんは1952年から44年間、旧江差営林署(現・檜山森林管理署)などに勤務。現職当時から「檜山」の語源になったヒバの減少に危機感を抱き、80年には自ら山林を購入。道内で廃れていた、挿し木による苗作りに着手し、試行錯誤を繰り返しながら、檜山地域に適した独自の育苗技術を確立した。また、かつて管内で漁具などに利用されたキリの栽培復活にも携わり、江差町内の建設業者や飲食店経営者らの異業種交流による「北の桐(きり)を創る会」を発足させ、キリの植樹や間伐材を利用した商品開発にも道を開いた。
一方、高い技術力を持つ林業の指導者として、2001年に道が「指導林家」に認定。林野庁を退職後の96年から10年間は、町の森林指導員を務め、町有林の育成や住民や子供たちによる植樹活動への技術指導、苗木提供を行うなど、森づくりへの貢献も高く評価された。
ヒバ林の復活にかけた長年の取り組みについて、坂野さんは「江差追分の一節で『あれが蝦夷(えぞ)地の山かいな』と歌われた時代に、檜山沿岸ではヒバ林が海岸まで続き、豊かな森が多彩な文化をはぐくんだ。伐採で姿を消した北限のヒバ林を復活させたいとの一心で苗を植え続けてきた。受賞は自分1人のものではなく、地域の皆さんや友人の協力があってこそだ」と喜びを語った。
同表彰は全国の農山漁村を舞台に、豊かな経験を生かして地域活性化に取り組む60歳以上の個人や団体をたたえるもの。農村地域と山村・漁村地域の2部門があり、坂野さんは山村漁村部門で最高賞の農水大臣賞を受賞した。両部門で個人の受賞は坂野さん1人だった。
提供 - 函館新聞社
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