相次ぐ官公庁の撤退に危機感

update 2007/9/30 12:19

 【江差】江差町では30日に気象庁の江差測候所(姥神町)が廃止されるなど、官公庁や教育機関の撤退が相次いでいる。町は道が検討している支庁制度改革に伴い、国や道の出先機関の撤退に拍車が掛かる可能性もあるとして、危機感を強めている。町内の経済関係者からも「町の中心街は既にシャッター通り。官公庁の撤退が懸念される中では投資意欲も冷え込み、新たな商業振興策を打ち出すことも難しい」との声が聞かれる。

 同測候所は30日に廃止され、1日には無人観測所に移行する。職員7人は全員町外に転出するほか、職員住宅も解体する予定だ。国の公務員削減に伴い、全国の測候所を廃止する方針が打ち出された昨年、町は気象庁に測候所存続を強く要望したが「政府レベルでの意思決定であり交渉の余地は無かった」(総務政策課)という。

 町内では国の行財政改革に伴い、2004年に林野庁の道森林管理局森林技術第5センター、06年3月に農林水産省の江差統計情報センターが廃止。教育機関も1996年に道立江差高等技術専門学院、06年には道立江差南高校も閉校した。

 桧山支庁など道の出先機関だけでなく、開発局、公共職業安定所、法務局、江差海保署でも職員削減や業務の統廃合が急速に進んでいる。

 さらに、道が検討中の支庁制度改革に伴い、桧山支庁では半数を超える職員の削減も予想されている。

 これまでの国勢調査によると、町内の公務員人口は、90年612人、95年665人、00年644人と横ばいだったが、05年には529人と急減。町や一部事務組合の職員は160人前後で維持しており、出先機関の廃止・縮小による影響が色濃く現れた形だ。

 人口減少に伴う経済的な打撃に加えて、「行政の中心地だった江差の地盤沈下が進むことは明らかだ。支庁廃止を契機に、警察署、裁判所、検察庁、税務署といった官公庁も雪崩を打って撤退や縮小を始める恐れがある」(町幹部)とし、町は支庁存続運動を進める一方、国や道の出先機関の存続にも神経を尖らせている。

 また、国や道の職員削減で、税収や地方交付税の削減、購買力の低下や飲食店などサービス業への打撃が危ぐされるほか、官公庁が地元に発注する公共事業、物品・役務の減少も懸念されている。

 これまで、職員数が300人を超える同支庁を頂点とする「支庁城下町」として、官公庁を中心に成り立ってきた江差町の経済構造は今、官公庁の廃止、撤退の流れの中で変革を迫られている。

提供 - 函館新聞社



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