日ロの戦略と協力重要 領土返還へ機運高める…外交シンポジウム
update 2007/9/29 13:56
外交シンポジウムin函館「国際情勢の展望と日ロ関係―北方領土返還実現に向けて」が28日、函館国際ホテルで開かれた。市民や元島民ら約280人が参加。近年の日ロ情勢から、領土返還には両国の戦略的な協力関係が鍵となり、安定した政権下での平和条約締結や政治判断が欠かせないことを学んだ。
北方領土復帰期成同盟(堀達也会長)と同渡島地方支部(村上幸輝支部長)の主催で、領土の早期返還を求め、機運を盛り上げる目的。
北大スラブ研究センターの荒井信雄教授が進行役となり、山梨学院大学大学院のコンスタンチン・サルキソフ教授、元駐ロシア大使の都甲岳洋さん、北海道新聞前ユジノサハリンスク駐在の山野辺亨さんがパネリストを務めた。
近年のロシア情勢について都甲さんは、急速な経済成長を続けており、設備機器の更新や社会資本整備などで日本の技術力を必要とし、ロシア国内でも日本企業が投資する素地が整ってきたことを紹介した。
サルキソフ教授は「ロシアにとって領土問題は、のどに刺さった小骨。日本は千島列島を放棄したが、国際法上、千島はロシアの領土と認められておらず、そのためにも平和条約の締結や領土問題の解決が求められている。ただ、返還には両国の妥協が必要」と、着地点を見いだす努力の必要性も説いた。
領土返還について山野辺さんは「両国首脳の政治決断となる。ロシアでは東アジアの存在感が高まっており、あらゆる分野で両国の政府や市民が重層的なパイプやチャンネル(窓口)を持つ必要がある」とした。
返還の時期について、都甲さんは「まだ機が熟しておらず、じっくりと構え、運動していくことが大事。日ロの戦略的や協力関係が一層重要になる」と述べた。
村上支部長は「内外に『日本固有の領土』の意思を示し、国民世論を高めながら地道に政府や外交に訴えていくことが大切」と話していた。
提供 - 函館新聞社
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