市議会/連結実質赤字約0・4%

update 2007/9/21 11:30

 第3回函館市議会定例市議会は20日、一般質問を継続し、6氏が登壇した。市は、2006年度の決算見込みで試算した全会計の連結実質赤字が約2億6000万円、比率は約0・4%となることを示した。中林重雄財務部長は「現行制度で財政再建団体になる赤字比率は25%以上であり、大きな数値ではない。しかし、黒字であることが当然であり、全会計の健全化に向け努力する」と述べた。

 09年4月に施行される財政健全化法に関連して、板倉一幸氏(民主・市民ネット)が市の財政対策をただした。

 同法では、連結実質赤字比率や実質公債費比率など4つの指標で地方自治体の財政状況を表す。国から各指標の基準値や算定方法が施行1年前までに示される予定になっている。

 法施行初年度は、08年度決算が数値の指標となるため、来年度の予算編成にも影響を与える。市は、地方交付税の大幅削減など、来年度以降の見通しも大変厳しい状況にあるとし、国の動向を見ながら予算編成方法の見直しも進めるとした。

 また、病院事業会計など、各企業会計の赤字も市全体の財政指標となるため、井上芳郎病院局長は「法施行にかかわらず、病院事業の赤字は市の財政に大きな影響を与える。経営健全化に全力を注ぐ」とし、収支計画に基づく施策を進めると述べた。板倉氏は、診療科目の廃止などが収支計画に与える影響は大きいとし、病院の存続を含め、抜本的な計画見直しを求めた。

 西尾正範市長は「病院事業を取り巻く状況は大変厳しい。経営健全化は喫緊の課題であり、副市長とも、全庁の問題として取り組む」と答えた。

 そのほか、見付宗弥氏(民主・市民ネット)、能登谷公氏(市民クラブ)、松宮健治氏(公明党)、市戸ゆたか氏(共産党)、小谷野千代子氏(公明党)が質問した。主な質疑は次の通り。

 見付氏 本市の自主防災組織の組織率は全国平均、全道平均と比較してどうなのか。

 小柏忠久総務部長 2007年4月現在の本市の自主防災組織の設立状況は46団体で、市域世帯数に対する設立組織数の組織率は39%。06年4月の全道の組織率は45%、全国の組織率は67%になっていることから市として組織の設立、支援に向け鋭意取り組みたい。

 見付氏 拠点避難所の耐震化について、すでに17施設を実施しているが、残り33施設が耐震化されるのはいつごろか。整備計画の目途は立っているのか

 西尾市長 厳しい財政状況ではあるが、今後も2001年に策定した耐震診断計画などに基づき、計画的な整備に努めたい。

 能登谷氏 市長の国旗・国歌に対する認識は 

 西尾市長 国旗、国家が国民生活や学校教育などさまざまな場面で国民の間に定着していくことが望ましいと考える。

 能登谷氏 旧函館北高跡地の利用をどう考えているのか

 西尾市長 この地区周辺には今後、新外環状道路の日吉インターチェンジが設置され、アクセスする放射4号線、日吉中央通など都市計画道路も計画されている。交通の利便性向上が見込まれる貴重な市有地と考えているので、一体的な土地利用について慎重に検討したい。

 松宮氏 小中学校、高校へのAED(自動体外式除細動器)の設置についてどう考えているか。

 多賀谷智教育長 現在、高校1、小学校2校に設置されている。今後各学校への設置について検討を進めたい。

 松宮氏 縄文文化、自然環境をキーワードとした「滞在型観光」「体験・学習型観光」など観光考古学の視点に立った観光行政について市長の見解は。

 西尾市長 今後、建設整備される「函館市縄文文化交流センター」の活用と合わせ、発掘作業などの体験観光について検討を進める。また、遺跡周辺の自然環境や地元の水産資源を活用した、新たな観光商品の創出について研究したい。

 市戸氏 集中豪雨や台風で浸水被害を受けた昭和地区への対応策は。

 秋田孝土木部長 現在進めている、小田島川河川改修事業で解消を図りたい。浸水対策として、排水路確保の検討作業を進めている。

 市戸氏 (高校生の暴行死事件を受けて)空知管内奈井江町のように、子どもの権利条例を制定し、子どもたちの権利を保障し、最善の利益を考えていくべき。

 西尾市長 次世代育成支援行動計画の中に、児童の権利に関する条約の理念を盛り込んでいる。各種施策を推進し、必要性を含め調査研究を進める。

 板倉氏 包括外部監査で指摘された病院の未収金対策は。

 井上病院局長 4月から外来救急患者の即日徴収を実施しているほか、9月から退院時の納付書の即日発行を実施し、未収金発生防止に取り組んでいる。債権回収には、簡易裁判所への支払い督促の申し立てなど、法的措置の準備も進めている。

 小谷野氏 幼児の発達障害は集団生活で発覚する場合が多い。5歳児健診を実施する考えは。

 田中俊弘保健所参事1級 3歳児健診以降は、特別支援教育サポート委員会が保育園、幼稚園の訪問などで、発達障害の早期発見に努めている。現在の取り組みを強化しながら、引き続き検討したい。

提供 - 函館新聞社



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