市民、地元政界にも驚き…安倍首相退陣
update 2007/9/13 13:14
安倍首相の突然の退陣表明は、道南の市民や政党関係者にも驚きと衝撃を与えた。「政権運営が困難なことを理解した上で続投したのに、途中で投げ出すのは無責任」などの批判が根強い。早ければ年内の衆院解散・総選挙も想定されたが、状況は一変。ただ、政党関係者からは「総選挙が早まることに変わりはない」「準備は着々と進めている」との声が聞かれた。
首相の辞任会見が始まった12日午後2時すぎ。函館市役所1階ロビーでは、来庁者がテレビの会見に見入った。西尾正範市長は「突然の辞任表明に驚いている。地域経済は依然として厳しい状況が続いており、国政を停滞させることなく、地域の活性化にも配慮した国政運営を期待したい」とのコメントを発表。
市民からは批判が相次いだ。同市見晴町の会社員土方耕一さん(49)は「なぜ、この時期に辞任表明なのか。参院選大敗を受けて辞めるべきで、時期が違いすぎる。年金、テロ特措法問題など、これから取り組む問題があるのに、首相として無責任だ」と怒り口調。
一方で、同市日吉町の無職男性(65)は「とにかく驚いた。参議院選大敗の原因の大半は首相以外のところにあったと思うし、荷が重かった感は否めない」と同情も。
首相や自民党への批判は強いが、それが必ずしも野党支持に結びついていない声も聞かれた。同市美原の自営業安田和彦さん(61)は「ありえない政治の混迷で世紀末を迎えたような気分。ただ、民主党の小沢代表の会見でも、今ひとつ頼りたくなる言葉を感じなかった」と、もどかしさを語った。
政党関係者も驚きや戸惑いを隠せない。自民党道8区支部の中村勉支部長は「驚いたのひと言。所信表明でテロ特措法延長問題に不退転の決意で臨むことを示し、しっかり実行してもらえると思っていただけに、退陣は想定していなかった」と語る。解散・総選挙については「早急に国民に信を問い、政権機能をしっかり立て直すことが必要。早まるのではないか」と述べ、次期衆院選道8区公認候補として態勢構築を急ぐ。
連立政権を組む公明党の函館総支部幹部は「皆さんが言うように、辞任がどうして今なのか分からない。政権運営が困難なことを予想しながら所信表明をするなど、理解できない部分がある」と困惑した様子。
野党関係者は批判と攻勢を強める。民主党道8区総支部の板倉一幸幹事長は「記者会見を見たが、辞任の理由がさっぱり分からなかった。現時点で自民党の今後の体制は分からないが、いずれにしろ政局は混乱し、与党の求心力が高まるとは思えない」とし、「党本部からも指示が来ているが、解散総選挙も近いとみて、早急に準備作業に入る」と見据える。
共産党函館地区委員会の高橋佳大委員長は「所信表明演説をやった上で、一体どういうことなのか。参院選後に判断すべきことで遅きに失した。自民党の政治が破たんしているということだ」と切り捨てた。党は解散・総選挙を求めており、地区委員会も次期衆院選に向け、中央委員会総会の方針に基づき議論を始めている。
提供 - 函館新聞社
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