市内で銃撃戦/組員から覚せい剤反応

update 2007/9/12 12:47

 函館市昭和町で11日未明、暴力団員が死亡、警察官1人が重傷を負った発砲事件。高成仁容疑者(52)は拳銃を懐に携え、強奪した車で約2時間にわたり猛スピードで逃走を続け、揚げ句に閑静な郊外の河川敷で引き金を引いた―。函館中央署のその後の調べで、同容疑者の尿から覚せい剤反応が出ている。事件前日の10日午前8時20分ごろには、JR函館駅のホームで、高容疑者に人相が似た男が複数の男性に拳銃をちらつかせたり、突き付けたりと、異常行動を取る姿が目撃されていて、同署で関連を調べている。

 治安が揺らぐ函館で、新たに起きた凶悪事件に、捜査幹部の一人は「拳銃はただ下げる時代から、使用する時代に変わった」と唇をかみ締める。

 現場から南へ約500メートルの昭和公園では8月26日夜、高校生が集団暴行されて死亡する事件があったばかりだ。

 道警函館方面本部は10日夜、七飯町のリゾートホテル前での強盗事件の発生を受け、管内に緊急配備を敷いた。同本部や管内9署から捜査員200人以上が防弾チョッキに身を包み、警戒に当たった。赤色灯を回したパトカーなど車両計60台も出動した。

 11日午前零時半過ぎ。行き止まりの道を引き返してきた高容疑者と対峙(たいじ)した同本部地域課のパトカー。数メートルの至近距離に近づいた瞬間、高容疑者は車を降り、パトカーのボンネット近くまで駆け寄ってきた。ハンドルを握る警部補はとっさに車をバックさせたが、いきなり運転席に向け拳銃2、3発を発砲。銃弾は同警部補の右腕を撃ち抜いた。

 助手席に乗っていた巡査部長は直ちに車外に出て3発の応射。現場は真っ暗闇で、同巡査部長は高容疑者を一瞬見失った。気付いたときには自分の目の前で銃口を向ける高容疑者。即座に2発を発砲した。この間、わずか1分ほど。続々と駆け付ける捜査車両や救急車。普段は人けの少ない現場が、一時騒然となった。発砲から約2時間後、被弾したパトカーと高容疑者に強奪されたワゴン車が、それぞれブルーシートに覆われて運ばれた。

 10日朝のJR函館駅での異常行動後、高容疑者は同駅前でタクシーに乗り込み、「(函館)大沼プリンスホテルに行ってくれ」と女性運転手に指示。「高速(函館新道)で走ってくれ」と頼んだという。女性運転手は「観光ですか」と問いかけたが、返事はなかった。同9時15分ごろ、ホテルに到着し、運賃8590円を1万札で支払い、無言でタクシーを後にした。

 強盗の現場となったホテルでは「警察官一人が撃たれたことに驚いているが、ただ宿泊客にけが人が出なかったのが不幸中の幸いだった。こんな悲しい事件は二度と起きてほしくない」と話した。

提供 - 函館新聞社



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