七飯のリンゴ大打撃…台風9号
update 2007/9/9 10:46
台風9号は8日未明に函館市付近から本道に上陸。道内を北東に進み、午後3時にオホーツク海に抜け、温帯低気圧に変わった。渡島、檜山管内では台風によるけが人は無かったが、看板倒壊などの建物被害があったほか、七飯町では収穫前のリンゴが大量に落下する被害があった。落下数は2004年9月の台風18号の被害並みと予想される。
渡島管内各地では台風通過後の8日早朝までに、自主避難していた19世帯30人すべてが安全を確認した上で自宅へ戻った。
函館市では商店の看板倒壊2件、倒木9件、街路灯の破損2件、屋根のトタンがはがれる被害10件などが報告された。七飯町では、民家3件の屋根のトタンがめくれる被害があった。松前町では、大島中学校と民家5軒、物置1軒の屋根のトタンがはがれたほか、松前港内の倉庫のシャッターが破損し魚市場の外壁の一部も崩れた。
渡島、檜山管内で通行止めとなっていた道道10本11区間のうち、8本の規制が解除された。函館市内の道道臼尻豊崎線(4・1キロ)と道道蛾眉野原木線(10・7キロ)は引き続き通行止めとなっている。高波が道路に打ち寄せた同市南茅部地区の国道278号の片側通行規制区間はすべて解除された。
東日本海フェリーは8日、奥尻と江差、せたなを結ぶ各2往復4便が欠航。東日本フェリーは函館―大間と、函館―青森(高速船)がそれぞれ1便欠航したほか、函館―青森間は不定期運航となった。JRや空の便は通常通りのダイヤに戻った。
約40軒のリンゴ農家がある七飯町の果樹園では、約10日後に控えた収穫間近のつがるなどリンゴが落ちる被害があり、新函館農協七飯基幹支店では各農家の被害状況をまとめている。
同町鳴川の宮田果樹園では、サンサ、つがるなどのうち、半分の実が落ちたという。同園では倒れそうになった木を元に戻す作業などで、落下したリンゴを拾う作業ができないほど。「木についているリンゴでも傷があるなど、被害は予想もつかない」と落胆していた。
落下で肩を落とすのは果樹園ばかりではなかった。同町鳴川のなるかわ病院(藤嵜泰利院長)では、作業療法で栽培している王林や北斗の木230本のうち、半分以上が落下。同院の松坂吉弘事務長は「患者が摘み取りを楽しみにしていたのに残念」と落ちたリンゴを拾い集めていた。
各果樹園の話によると、リンゴの落下は、台風接近による7日午前から夕方にかけての強風が原因とみられる。
同町緑町在往で、元道教育大函館校非常勤講師の浅利政俊さん(76)は、同町内のリンゴ園を視察し、「短時間に強い東の風が実を叩きつけるように吹いたことが落下につながった。落下数は04年9月の台風18号並みの恐れがあるが、当時のような塩害は無い」と分析。「ここまで育てて捨てなければならない農家の人のショックは大きいだろう」と話していた。
提供 - 函館新聞社
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