沖縄戦描いた絵本 出版目指し地道に…ピーター・ハウレットさんら英訳
update 2007/9/5 11:32
函館ラ・サール中学・高校のカナダ人教師ピーター・ハウレットさん(52)らが、第2次世界大戦末期の沖縄戦を主題にした絵本「おきなわ 鳥のこえ」(小峰書店)の英訳本出版に力を注いでいる。昨年10月、出版プロジェクト事務局を設立し、英訳も完成させた。あとは出版、米国などへの寄贈に向けた資金集めで、その一環として15日、函館市駒場町のカトリック湯の川教会聖堂で風力パイプオルガンコンサートを開く。
この絵本は丸木位里(いり)さんと、妻の俊(とし)さん(ともに故人)が、1年にわたり沖縄で入念な取材をして書き上げ、1984年に出版された。沖縄戦で小さい姉弟が戦火の中を逃げる姿をモチーフに、「ヌチドウ タカラ(いのちこそ たから)」など、沖縄の言葉を交え、住民の視点で惨状を語っている。
丸木夫妻のファンというハウレットさんは、10年前にこの絵本と出会った。4年前、同校の修学旅行で沖縄を訪れたとき、「今でも米軍に土地を使われ、上空には戦闘機の爆音が響く。住民の苦しい生活が続くようでは、戦争は終わっていないようなもの」と感じ、「アメリカをはじめ、英語圏の人たちに沖縄戦の悲惨さを知ってもらわなければ」と英訳本出版を決意したという。
ことし6月、絵本の版権を所有する小峰書店から出版の承諾を得た。翻訳はハウレットさんが函館で知り合った金城春菜さん(26)と米国人女性のアンドレア・グッドさん(39)が担当。金城さんは沖縄出身で、父方の曽祖父母などが沖縄戦の犠牲になった。
約200冊を出版、アメリカなどの英語圏の平和団体や図書館に寄付し、平和教育に役立ててもらう考え。出版費用は約150万円になるが、ハウレットさんは「時間はかかるが募っていきたい」という。
湯の川教会でのコンサートは、パイプオルガンを函館在往の音楽家、石崎理(みち)さんが演奏する。絵本は函館絵本の会銀のふねの和田ふみえさんが朗読し、会場には絵本をスクリーンに映し出す。本の絵を映像として発表することは異例だが、小峰書店が絵の使用を快諾した。
パイプオルガンは電力が必要だが、今コンサートでは風力発電による電気を使用。自然のエネルギーを使うことは、平和な世界をつくるための鍵であることを訴える。同コンサート以外でも今後、さまざまな公演を予定している。
同コンサートは入場無料だが、1000―2000円の募金を呼びかけている。問い合せは出版プロジェクト事務局の鍋島さん(TEL050・2020・9246)か高石さん(TEL090・6261・4989)へ。
提供 - 函館新聞社
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