つち音響く北海道新幹線・〈1〉/起債の半分は交付税措置、「道民の理解不可欠」

update 2005/5/24 10:47

 輪郭しか描かれていなかった北海道新幹線に、財源という“電源”が入った。国も地方も、しかし財政は火の車。財政再建中の道に、新幹線という大型投資は「道民からも賛否両論がある」(道新幹線対策室)。そんな中で、官民挙げた長い悲願が国策として動き出した。

 新函館―新青森間(149キロ)の建設費は4700億円。国などが3分の2、地元が3分の1の1560億円。道が840億円、青森県が720億円を負担する。

 道は九州新幹線の例に倣い、新駅が設置される木古内町や大野町へ地元負担として、このうちの1割を求める方向で検討している。差し引いた分の1割を一般財源から充て、9割を起債(借金)で賄う計画だ。起債方式は木古内町や大野町も予定している。

 起債の半分は普通交付税で措置されるため、いわゆる“真水”部分は少なくなる。これは現在の交付税制度での見通しで、100%保証されているわけではないが、「国策で進められる以上、大丈夫ではないか」(木古内町)との声が聞かれる。

 仮に駅舎建設費を300億円とすると、町の負担はどうなるか。地方負担は3分の1の100億円で、道が1割負担を町に求めれば、町10億円、道90億円となる。

 大野町の吉田幸二町長は「道から負担額の詳細な話は一切来ていない。来年2月合併の北斗市に引き継がれるが、駅の固定資産税収入もあり、支払えない額ではないだろう」との見通しを語る。

 町は駅舎建設費負担とは別に、10年後の開業までに付帯工事や駅周辺の道路整備などに、概算で31億円を見込んでいる。これも別な形の地元負担だ。吉田町長は「身の丈に合った整備を進めていく。道南の拠点駅となるよう、道南全体が知恵を出し合って、最大限活用される駅を目指すことが必要」と力を込める。

 木古内町の大森伊佐緒町長はかつて町議会で、駅舎建設の地元負担について「6億4000万円を見込んでいる」と答弁している。町新幹線推進室は「あくまで過去の試算。正式な負担額は、今後の道と建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構との協議の中で、施設規模などから示されるだろう」としている。

 高橋はるみ道知事は札幌延伸にも意欲を見せ、道南や札幌市などとともに道民一丸となって運動し、予算の確保は「道民の理解を得ながら進める」との考えを繰り返す。井上博司函館市長も22日、札幌延伸へ努力していく考えを示した。

 大野町の吉田町長は「町民の福祉や暮らしは今まで通り守り、その上で新幹線に投資する」と強調する。大型事業が福祉政策などを圧迫しない配慮は、自治体共通の課題だ。のしかかる地元負担をどう乗り切るか、難局は続く。


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 整備計画決定から32年の歳月を経て、道新幹線(新函館―新青森)が部分着工した。開業までに沿線自治体や函館市、道が解決しなければならない課題を整理し、展望する。

提供 - 函館新聞社



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