江差の棚田さんがこだわりの自家製羊肉生産
update 2015/1/2 10:34
江差町の高級宿「江差旅庭群来(くき)」を経営する棚田清さん(73)は、直営農場・拓美ファーム(厚沢部町美和)で、こだわりの羊肉を生産している。市場には出回らず、宿の利用者しか堪能できない極上の自家製羊肉だ。かむほど味わい深くなり、脂もおいしいと評判で、着実にファンを増やしている。
同ファームでは羊肉のほか、地鶏、卵、野菜を生産し、宿は地産地消の料理が売り。棚田さんは2009年5月の宿オープン時から、羊をメーンメニューに据えようと考え、従来の概念を塗り替える羊肉生産を実現した。
現在はサフォーク種10頭を飼う。羊肉は1年未満の子羊をラムと呼び、棚田さんは10カ月以上肥育することでうま味のある肉に仕上げている。また、30年以上研究して試行錯誤の末にたどり着いた餌は牧草に加え、大豆やコメも与えることで「理想とする肉質に近づくことができた」と棚田さんは手応えを話す。
宿では羊肉を塩、こしょうで味付けして焼き上げ、ステーキとして提供。食べた人は「こんなにおいしい羊肉は初めて」と口をそろえ、これを目当てに本州からこれまで19回宿を利用した客もいるという。
羊を1頭出荷しても生肉として利用できるのは6割程度で、首やスネなど硬く肉に向かない部位が残る。そこで、これらをミンチ状にしてウインナーソーセージなど加工品の試作も進めている。新年度には、敷地内に加工場を整備し6次産業化を推進する計画もある。
宿の利用者は年間1600人に上り、7割が関東からだ。棚田さんは「北海道新幹線が開通すれば、関東から来るお客さんはもっと増えるだろう。道南の要となる食の分野は高付加価値化・差別化が欠かせないので、今後も挑戦を続けたい」と意気込んでいる。
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