風呂難民 深刻化 市内銭湯廃業相次ぐ

update 2013/3/14 10:10


 銭湯の相次ぐ廃業を受け、自宅に入浴設備のない“風呂難民”の問題が函館市内で深刻化している。市内ではここ3年だけでも燃料費の高騰などで12軒の銭湯が廃業し、17軒に減った。築年数が古い住宅や市営住宅など風呂を持たない住民から悩みが寄せられている町会では問題解決に苦慮しているが、デイサービスセンターが援助するなど先駆的な取り組みも始まっている。

 昨年、松川町にあった豊作湯が廃業、松川町から銭湯が消えた。町内には風呂のない市営住宅があり、松川町会(深瀬晃一会長)には高齢者から多数相談が寄せられた。

 こうした事態を受け、昨年11月、デイサービスまつかわが「もらい湯」という形で入浴施設を開放する支援を開始。週2回午後5時半〜同8時、風呂がなく介護認定を受けていない高齢者に無料で提供している。

 現在は町内の23人が利用登録し、疲れがたまった体を休めに訪れる。30年前から友人と2人で銭湯を訪れるのが日課という80代の女性利用者は「徒歩で通え、安心して入れる。ありがたい」と感謝。「町会の人とたまに会うと話題はお風呂。娘や息子の家に入りに行っている人もいる」と話す。

 同町会だけでなく大手、大森などの町会でも風呂難民は大きな課題になっている。五稜郭町では昨年、市営住宅内に住民たちが運営する共同浴場がオープンした。

 栄町に住む男性(79)は週2回、バスや市電を利用し、市内の銭湯に通っている。40年前に同町に来たころは近隣の銭湯を日替わりで回っていたといい、「タクシー代や入浴料を含め、1回2000円ほどかけてくる人もいる。年金生活者にとっては大きな出費」と現状を語る。

 各町会のこうした悩みを受け、西部地区協議会(岡嶋一夫会長)の理事会は新年度から、風呂難民の問題について共通理解を図り、解決に向けた取り組みを進めていくことを決めた。岡嶋会長は「一致団結して取り組んでいくべき問題」と声を強める。



 スポーツジムの普及や若い世代の銭湯離れなど、銭湯の経営も厳しいのが現状。利用客を増やそうと、道公衆浴場業生活衛生同業組合函館支部(長南武次支部長)は、子ども無料日を設けたり、スタンプラリーを実施するなど試行錯誤が続いている。

 長南支部長は「重油の高騰で経営が圧迫され、廃業に歯止めがかからないのが現状。若い人にももっと銭湯の魅力を知ってほしい」と思いを語る。

提供 - 函館新聞社


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