震災で福島から避難の加藤さん、夢の美容師に

update 2013/3/10 10:34


 東日本大震災で被災した2011年3月、福島県から函館へ避難してきた加藤高樹さん(32)が11日、函館理容美容専門学校(中島町、中島真之校長)を卒業する。仲間や支援者との出会いを励みに勉強し、美容師になる夢を見事にかなえた。加藤さんは「人として成長できた2年間だった」と晴れやかな表情を見せる。

 加藤さんは同県南相馬市出身。東京の大学を卒業後、27歳の時から陶器の製造・販売業を古里で始めた。震災当時、福島第一原発事故による放射能汚染への影響から「もうここには住めない」と判断。函館にいる親戚を頼ろうと2年前、共に暮らす母(63)と福島を離れた。

 函館で職を探したが、憧れていた夢への思いが膨らんだ。美容師だ。同専門学校へ問い合わせた。既に新年度の学生募集は終わっていたが、「事情が事情だから」(同校)と入学が認められた。市職員が用意した避難者向けの住宅への入居も決まった。

 そうして新生活が始まったが、一回り近く年齢が離れた学生とは、なかなかなじめなかった。「本来すぐに仕事しなければいけないのに、学生をやっていていいのか」。そんな葛藤にも悩まされた。

 半年が過ぎ、翌年7月に控える全国理容美容学生技術大会道地区大会に向けた特訓が校内でスタート。同じ目標を掲げ、ウィッグに向き合う日々。気付けば、学生と心を通わせている自分の姿があった。同大会で見事優秀賞に輝き、全国大会へ進んだ。「年齢は違えど目標に向かって頑張るのは同じ。誇りにできる仲間ができた」と話す。

 就職が決まり、来月上京する。函館で支援してくれた人、そして今も故郷に残る友人、知人への思いもあるが、それらを糧に新天地で生きる決意だ。

 加藤さんは言う。「泣く泣く福島を離れた震災当初は生きた心地がしなかったけど、人との出会いがなければ今の自分はない。スタイリストとしてお客さんに幸せを届けられるよう、腕を磨いていく」

提供 - 函館新聞社


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