大沼の堆積物から火山性物質の層 1640年の大噴火関連と推定

update 2012/6/9 11:42


 東アジア地域の気候変動を調査している日本、中国、韓国の研究チームが8日、道教育大学函館校で七飯町の大沼湖底から採取した堆積物を分析し、火山性物質が含まれた厚い層を発見した。この層は地下約2・5b地点から3b地点まで50aほど続き、この時期に大きな火山活動があったと推測される。研究者らは「1640年の大噴火に関連するものに間違いないだろう」としている。

 試料は5、6両日、大沼や小沼の4地点で採取。このうち、3地点では地下3b以上は掘り進むことができず、大沼北岸に近い水深の深いところの1カ所のみ、地下4bまで到達することができた。

 この4メートルまで掘削した試料を調べたところ、地下2.5〜3メートルの部分に火山性の物質が層になって続いている場所が見つかった。白っぽい火山灰の層と黄土色の層が数_単位で繰り返され、間には大沼固有の堆積物が黒い筋となって含まれていた。この層が始まる手前からは、4aほどの火山噴出物(スコリア)が見つかり、「ここが噴火の始まりでは」と研究者らを驚かせた。

 この層の前後には、大沼固有の層が続いていたが、堆積の仕方に違いがあるといい、金沢大学環日本海域環境研究センターの長谷部徳子准教授は「噴火の前後で大沼に環境の変化があった可能性がある」と話す。

 函館校の鴈澤好博教授や紀藤典夫教授は、地表に降り積もり、雨などで湖に流された火山灰が層を形成したとみているが、駒ケ岳の噴火には軽石が多く含まれることから、「軽石の層が出てもいい」と指摘。鴈澤教授は「この層は1640年の大噴火のものと考えてもいいだろう。軽石の層がないことは、1640年の場所に達していないか、さらに古い場所まで掘り抜いたということの2通りが考えられる」と話していた。

 今後、堆積物に含まれるプランクトンや放射性炭素年代測定などで、詳しい分析を行い、気候の変動や大雨などの災害発生の周期などを調べる。

提供 - 函館新聞社


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