加藤組土建が放射性セシウム汚染水の浄化システム開発

update 2012/6/6 10:29


 建設土木業の加藤組土建(函館市千歳町、加藤健太郎社長)はこのほど、放射性セシウムで汚染された水を浄化するシステムを新たに開発した。5月には原発事故の影響が残る福島県で、汚染されたヘドロと水を分離する実証実験に成功し、新技術の効果を確認。同社は今月中にも工法特許を申請する方針で、今後注目が集まりそうだ。

 同社は7年前に、建設工事で出る汚染水を固めて沈殿させ、浄化した水を排出する「ABCシステム」を開発している。今回は、強力な吸収力を持つゼオライトを用いたセシウム吸着剤をロシアの技術者と共同開発して同システムに装着。福島第一原発から西に約80`離れた福島県西郷村で、村の協力を得て実証実験を行った。

 実験は、高濃度のヘドロが沈殿している村営プールの約500dの水を、セシウムの基準値以内で排水する目的。セシウムは下に沈殿する性質があるため、▽プール底にたまったヘドロをかき混ぜないように、上澄み水をポンプで排水する▽プール底15aのヘドロと水をくみ上げて同システムに送り、汚染水を吸い上げ閉じ込める方法で行った。

 福島での実験では、水のほとんどが排水基準値以内だったが、沈殿した汚泥が1万8000ベクレルを超えており「このまま排水すると汚泥に混じった水が汚染水となる」(同社)危険性があった。このため、水500dのうち上澄み部分の470dを排水する前処理を行った上で、残りの汚泥部分の水とヘドロを同システムで処理。吸着剤を通して浄化した水からは放射性物質がほとんど検出されなかった。

 これまでの工法ではすべての水を処理する必要があったが、今回の実験では大半の水は処理する必要がないため、工期とコスト削減につながった。

 同社の金田喜久雄常務は「セシウムはγ(ガンマ)線が強く、アルミやコンクリートを通す性質があるが、水で遮蔽されることが確認できた」とし、「汚染水はあらゆる場面で出てくるので、新技術はさまざまな用途で使えるはず」と話している。

提供 - 函館新聞社


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