北海道犬「ちっち」天国へ

update 2012/3/17 12:56


 【厚沢部】手づくりの介護用乳母車で散歩を楽しむ姿が人気だった北海道犬「ちっち」(雄)が、15歳(人間で70代)を迎えた昨年11月、病気のため亡くなった。飼い主の長原恵寿さん(57)一家(富栄597)は「長年一緒に過ごしてきただけに寂しいが、精いっぱいの愛情を注ぐことができたと思う」と語り、動物愛護の充実にと希望者へこの乳母車を無償提供したい考えだ。

 ちっちは、木古内で生まれて間もなく、広告・看板制作を営む長原さん家族に迎えられた。番犬として勇ましくほえ、「家を守ってくれているという安心感があった」と長原さん。

 しかし、一昨年12月に脊髄の異常で後ろ足2本がまひ。前足で懸命に歩こうとするものの、病状が進むにつれ、寝たきり状態に。ほえる声も弱まる中、長原さんが昨年のこの時期、乳母車を制作。道南スギを材料に長さ1・5b、幅70a、振動防止のタイヤを組み合わせ、試作では妻の雅子さん(45)が乳母車に乗って安全面と感触を確認したという。

 初散歩は昨年4月26日。雪解けのさわやかな空の下、ちっちは興奮気味に前足で立って背筋を伸ばし、クンクンと空気をかぎ「顔色が一気に良くなったのを覚えている」と恵寿さん。

 日差しや雨をよけるフードに、透明アクリル板で視界を広げ、穏やかな天候を見計らい散歩を楽しんだ。ドライバーやペット愛好家が興味を寄せ、激励のはがきが届いたこともある。

 長女の汐里さん(20)も青森の大学から帰省する度に、一緒に散歩を楽しんだ。雅子さんは、愛犬との暮らしを振り返り「寝たきりになってからの一年は24時間付きっきりで介護した。世話という世話が必要なかった番犬時代の分、『生きていてくれてご苦労さん』と言葉では表現できない愛情を注いだつもりです」と話している。

 一連の家族愛は、桧山振興局で発行する「愛犬ふれあい通信」で取り上げられ、介護用乳母車の譲渡希望者の呼びかけも行っている。

 長原さん家族は「大事に使ってくれる飼い主であれば、どなたにでも譲りたい」。厚沢部町近隣であれば、長原さんが軽自動車で運搬するが、遠方の場合は直接引き取りに来られる人が条件。 問い合わせは桧山振興局環境生活課自然環境係TEL0139・52・6494。

提供 - 函館新聞社


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