梅谷さん7日「たこ揚げ会」

update 2012/1/2 10:20


 函館市の元高校教諭で、干支(えと)のたこを制作している梅谷利治さん(82)は、2012年の「辰(龍)」を題材にさまざまなたこを完成させた。函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)などで展示しているほか、7日午前11時から緑の島(大町)で新春たこ揚げ会を開き、大空に泳がせる。作業は病を抱えながらだったといい、「市民の皆さんと、さまざまな再生を信じてたこを揚げたい」と参加を呼びかけている。

 梅谷さんは1960年から当時の函館東高校で美術を教え、教材として創作たこを取り入れた。生徒に物づくりの魅力と成果を喜ぶことを教え、88年に退職後もライフワークとして続け、作品は国内外で展示されてきた。

 干支のたこ作りは1976年の辰からで「龍は伝説上の生き物で、創作しやすいので始めた」と話す。76年は描いた龍の口を開けて連結した「北海天龍阿(あ)一世」、88年は龍の口を閉じた「北海天龍吽(うん)一世」を完成させた。「東大寺南大門(奈良)にある阿吽の金剛力士像のように、2体あることでようやく一つとなる」と梅谷さん。2000年には胴体をつけ、横から見ても迫力ある「北海天龍吽2世」を発表(92年に「北海天龍阿2世」を制作)、昨年は4巡目に突入した。

 「約40年も好きなことをやって来たのは、だまって見てくれていた妻のおかげ。そして応援してくれた仲間がいたから」。昨年春、例年通りに制作を始めたころ、東日本大震災もあり“絆”を深く感じてテーマとした。黄金の龍を作り夫婦で揚げようと思ったが、妻・歌代子さん(75)が体調を崩し、新春のたこ揚げは無理と判断。そこで「龍が生まれる前のことを考えたら、ひらめいたのは『登龍門』の言葉だった」と振り返る。中国・黄河上流で急流な所にある門を登りきったコイが龍となることを表現しようと、頭部がコイで胴が龍の連だこ「登鯉翔龍(とうりしょうりゅう)」に決めた。

 しかし、11月、自身が皮膚の疾患にかかり、一部が目の周辺に及んだ。片目での作業となったが無事に完成。「細かい作業で遠近感が取れずつらかったが、中途半端でやめるわけにはいかなかった」とほっとした様子。このほか、2つのたこを横に並べ、糸を途中から「Y」字のように分けてそれぞれに付けることで、たこが離れたりくっついたりしながら空を舞う「北海天龍阿吽3世」を平面と立体で作ったほか、震災復興を願う帆かけ船型もそろえた。

 新春たこ揚げ会を緑の島で行うことについて「海のそばで、ゆったりとした時間の流れが感じられる函館らしさを凝縮している場所だから」と話す。まだ目の状態は完治していないが「病を乗り越えて作った凧に、さまざまな再生への願いを託したい」と意欲的。高齢で家族は体を心配しているが「まだまだ世界にない凧を揚げたい。13年は私の干支である巳(み)で、アイデアはできている。これを揚げる夢が叶うように健康に気を付けたい」と熱い思いを語る。

 2世までの「北海天龍・阿吽」や「登鯉翔龍」はまちづくりセンターで15日まで展示中(3日まで休み)。このほか、旭ケ岡の家在宅ケアセンターベレル(旭岡町78)、函館脳神経外科病院(神山1)でも多彩な凧を展示している。7日のたこ揚げ会は荒天の場合、8日に延期される。当日の問い合わせは同センターTEL0138・22・9700。

提供 - 函館新聞社


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