道南 雪がない!

update 2017/1/8 08:02


 厳冬期に入った今季の道南は、雪が極端に少ない状態が続いている。市内のホームセンターや百貨店では、除雪用品や冬物衣料の売り上げが伸びず、雪を目当てに訪れる観光客にとっても拍子抜けの状態となる一方、函館郊外の大半スキー場は雪不足に負けず昨年末から営業を開始し、ウインタースポーツを楽しめる環境を整えている。

 ■なぜ?

 気象庁の速報値によると、7日現在の函館に積もっている雪は平年14センチ、昨年同時期の26センチに対し、0センチ。また、昨年11月1日から1月6日までに降った雪を示す累積降雪量は75センチで、平年値(129センチ)の58%にとどまっている。函館地方気象台は「雪が少ない日が続く背景には、函館市街地に雪雲が入りにくい気圧配置が重なったことが考えられる」としている。

 除雪などの心配がなく、市民にとっては比較的過ごしやすい正月。函館市桔梗1の理髪業、福井美知恵さん(47)は「雪かきの心配がないので楽に感じる。雪道で足元を取られる人がいないせいか、腰が痛いというお年寄りの声も聞いていない」と話す。

 ■小売店悲鳴

 石川町のホーマック石川店では、昨年12月から1月にかけ、スコップや氷割り用のアイスピック、融雪剤などの除雪用品や暖房器具、防寒用品が売れない状況が続く。除雪用品の昨年12月の売り上げはおととしの同時期に比べ3割減で、店頭には多くのスコップが売れ残っているほか、店頭に出ていない在庫もさばけていない状況だ。

 同店の佐賀野由紀夫販売マネージャーは「想定外の雪の少なさに困っている。これから例年並みの降雪を期待したい」と困惑した表情で話す。

 函館丸井今井(本町)でも昨年12月以降、紳士、婦人ともにコートの売り上げが伸びていないという。ただ、昨年11月上旬の降雪で底が滑りにくい冬靴が売れたため、特に婦人靴の売り上げは落ち込むことなく昨年度並み。同店は「1月下旬から2月にかけての降雪で、防寒用品の巻き返しを図りたい」(営業統括部)としている。

 ■スキー場は明暗

 スキー場は、人工降雪機を使うなどの企業努力もあってウインタースポーツを楽しむ人々を迎え入れている。昨年12月は降雪が少なくオープン延期を余儀なくされるスキー場も多かったが、年末に差しかかるにつれてまとまった雪が確保できたことで、函館七飯スノーパーク(七飯)を皮切りに、グリーンピア大沼スキー場(森)、ピリカスキー場(今金)が年内の営業開始にこぎ着けた。関係者は「前シーズンは近年にない雪不足で大会が中止になったりもした。それに比べれば今年は上々」と話す。

 一方、ニヤマ高原スキー場(七飯)は7日現在も滑走に必要な積雪量がままならず、営業できないでいる。同場は「準備は万端に整えている。あとはまとまった雪さえ降ってくれればすぐにでも営業したい」と、祈りにも似た思いを明かす。

 ■観光にも影響

 観光にも影響が及ぶ。1999年に発表された地元出身のロックバンド、GLAYの「Winter,again」は、その年の日本レコード大賞に輝いた名曲。その世界観を共有しようと、冬を選んで来函するファンも少なくない。

 メンバーやファンらとの交流が深い元町30のカフェ経営、太田誠一さん(63)は「今年はイメージが違うせいか戸惑いの声も聞いている。雪道の歩きづらさも観光客の旅情と重なり、ある種の趣につながっているのでは」と話す。

 愛知県名古屋市から帰省で緑の島を訪れた主婦、本田友美さん(29)は「雪のない函館の正月を過ごすのは初めて。娘と雪遊びをしたかったが…」と困惑する声もあれば、20年来のGLAYファンで、福島県郡山市の会社員、内藤真紀子さん(36)は「私の地元も雪が少ない」と気にしていない様子で「函館には日中と夜それぞれに顔があり、きれいだ」と話した。

 気象庁によると、8日からの1週間は気圧の谷の影響や冬型の気圧配置が続くため、曇りで雪や雨の降る日が多いと予想している。

提供 - 函館新聞社

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