産業支援センター 入居堅調

update 2014/10/23 10:10


 函館市のインキュベーター施設、市産業支援センター(桔梗町379)の利用が堅調だ。20日に東京の産業用・医療用機器開発、製造の「アサヒ」が入居したことで、各4室ある貸し研究事務室、試作工場ともに満室となった。管理・運営する函館地域産業振興財団の支援や隣接する道立工業技術センターとの連携体制など、企業支援の環境は充実しており、新たな事業創出、地域産業の発展につながる成果が期待される。

 支援センターは1998年に開設。貸し事務室、工場ともに新技術や製品開発に取り組む企業向けで、最長で5年間利用できる。入居企業だけではなく、同財団では独自の助成制度の紹介、新規の起業・創業支援事業の展開、地域の経営者や金融専門家らによる企業支援のネットワーク化など、体制を充実させている。

 貸し事務室は09年12月〜11年8月は空室だったがが、東日本震災後に創設した被災地域などを対象とした使用料減免制度が呼び水となるなど、12年4月以降はほぼ常時満室の状態。企業側には函館進出の足がかりとして、初期投資の抑制にもつながっている。日野口貢所長は「特に貸し工場は広さも十分で、開発から事業の立ちあげまでが可能。工業技術センターの研究員も出入りするので、ものづくり企業にとっては使いやすい」と話す。

 また、今月入居した「アサヒ」は、市が首都圏企業と地元企業の出合いの場として10年度から取り組むビジネスマッチング事業がきっかけで市内企業との取り引きが生まれ、拠点開設につながった。

 震災後、リスク分散を検討する企業が増えているといい、産学官と金融機関の連携や支援体制などをセールスポイントとして、水面下での交渉機会が増え始めているという。市工業振興課は「最終的には経営上のメリットがあるかの判断にはなるが、企業と信頼関係を構築し、企業を大切にする地域だと感じてもらえることが重要」としている。

提供 - 函館新聞社

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