震災3年 風化させぬ 観光業界、津波防災に全力

update 2014/3/11 10:17


 東日本大震災発生から11日で丸3年がたった。函館でもベイエリアや朝市など沿岸に津波が押し寄せ、大きな被害をもたらした。その教訓を生かそうと、観光施設や宿泊施設は観光客の命、安全を守るための努力を続けている。「震災を風化させてはならない」。関係者の思いはひとつだ。

 海沿いに建つ金森赤レンガ倉庫。震災では館内に津波が押し寄せ、甚大な被害を受けた。「津波に対する認識があまりにも低かった。被害を目の当たりにして、お客さま、従業員の命を預かっているということの責任を改めて感じた」。金森商船の取締役営業部長の柳谷一美さんは震災発生直後を振り返る。

 同社は震災をきっかけに防災に対する意識が180度転換した。津波に対して無知だった反省から、すぐに防災に全力で取り組む企業に変えていかなければならないという社内議論になったという。その年の6月には津波発生時の詳細な対応マニュアルと行動指針を作成。合わせて全ての入り口に土のうを積む訓練を始めた。

 外国人を含め、多くの観光客が訪れる函館。2年後には北海道新幹線開業も控えている。万一の際にどう観光客を避難させ、安全を確保するか―。企業だけでなく、観光業界全体の課題として浮かび上がった。

 防災体制構築の機運の高まりを受け、函館国際観光コンベンション協会は昨年、津波防災勉強会を立ち上げた。行政とともに勉強会を重ね、成果をチェックリストという形でまとめた。道内の観光協会としては初めての試みで、災害時の役割分担や情報収集、避難誘導の方法を盛り込んだ。同協会事務局長の三浦孝史さんは「会員の意識の高まりを感じている。どう行動すべきかを分かりやすく記すことに腐心した。活用する企業、施設が広がれば」と期待を寄せる。

 この動きは湯の川温泉にも広がった。函館湯の川温泉旅館協同組合も昨年11月に勉強会をスタートさせた。津波のメカニズムを学ぶことから始め、避難について意見を交換している。河内孝善副理事長は「決して他人事ではない。震災を経て意識は確実に変わった」と話す。

 金森商船の土のう積み訓練。今年は6月に行う予定だ。柳谷さんは「津波被害を受けた施設、企業として、津波の恐怖や体験したことを伝えていく責任がある。訓練はまだまだ十分ではない」と語った。

提供 - 函館新聞社

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