「安全設計審査に不備」 「大間」訴状用紙を提示…函館市、議会に

update 2014/2/26 09:41


 函館市は25日、国と電源開発(東京)を相手取り、大間原子力発電所(青森県大間町)の建設差し止めや原子炉設置許可の無効を求める訴状の要旨を市議会に提示した。設置許可申請時に用いられた安全設計審査指針に重大な不備があるとし、原発建設の同意手続き対象を立地自治体に限定することの不合理性なども指摘している。

 市は併せて、新年度補正予算に弁護士への日当など391万円を計上し、市議会に提案する。議決を経て、4月第1週に東京地裁への提訴を予定している。

 訴状は河合弘之弁護士(東京)ら弁護団10人が作成し、趣旨とともに全12章からなる請求原因で構成。

 福島第一原発事故では被害範囲が原発から30`圏内を超えたことを踏まえ、国に対し、「設置許可申請時に使用した安全設計審査指針は、福島事故の発生を防ぐことができなかった」として無効を求めるともに、新規制基準における安全指針にも不備があると指摘。国が建設停止を命ずる「主位的請求」を求める。

 さらに国に対し、UPZ(緊急防護準備区域)の30`圏内に原子力防災計画策定を義務付けた一方で、「同意手続きを立地自治体に限定することは、立地自治体と周辺自治体を不公平に扱うことになる」と指摘。市が同意するまで建設停止を命ずる「予備的請求」を主張する。

 電源開発に対しては、重大事故が起きた場合に「地方公共団体の存立自体が危険にさらされ、地方自治が根本的に破壊される」とし、憲法で保障される地方自治体の存立権を主張。さらに、公の財産の損害予防を図る「妨害予防請求権」を法的根拠の柱にした。

 同原発の具体的危険性も挙げ、▽原発周辺に巨大な活断層が存在する可能性が高い▽テロに対する対策が想定されていない▽重大事故への対策には限界がある―と指摘。

 重大事故が起きた場合の市の損害として、ウランとプルトニウムを混合したMOX燃料を世界で初めて全炉心で使用することから、プルトニウムの毒性の強さを挙げるとともに「短時間に壊滅的被害に遭い、廃墟と化すであろう」とした。

 住民の避難についても、国道5号を利用した場合には大規模な渋滞が予想され、国道227号も大部分は片側1車線で、避難経路としては不適合としている。観光面や水産業、農業でも重大事故が起きた場合に壊滅的な被害を受け、風評被害を受けると指摘している。

提供 - 函館新聞社


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