全容解明に高い壁 江差給食センター不正問題
update 2013/11/8 10:03
【江差】江差と上ノ国、厚沢部の3町で構成する学校給食組合の職員が給食費から私的に使う食材を不正に購入していた問題で8日、組合が委嘱した第3者委員会が初会合を開く。組合側には現時点で刑事告訴などの動きはなく、問題の全容解明は委員会に委ねられている。不正購入の背景や実態にどこまで踏み込めるか―が焦点となりそうだ。
同委員会は、北海道町村会と道教委の顧問弁護士を務める佐々木泉顕(もとあき)氏を筆頭に、税理士と3町の自営業や団体職員の民間5人で構成。組合側の長谷川篤副組合長(江差副町長)と各町教委事務局が組合側委員として出席する。
組合の発表によると、食材の発注業務を担当していた1人の栄養士が窓口となって、個人で使用するコメなどを購入、その費用を組合会計で支払い、2006年から今年までの少なくとも7年間に、約2800万円を給食会計から流用した。
年度別にみると、06年が約26万5000円、07年度は約135万円、08年度約339万円、09年度約562万円、10、11年度各約500万円、12年度には給食会計の1割にあたる約713万円に上った。
組合の調べでは、不正に購入された食材の納品書が全て紛失していることが分かっている。献立にないコメやイクラなどの個人食材が届いた際に業者が発行する書類だが、この不在が問題の発覚を遅らせ、全容解明の壁になっている側面もある。同委員会では、紛失の経緯について詳しく調べるものとみられる。
一方、組合は10月8日に栄養士から被害額の一括弁済を受けている。10月18日の記者会見で同組合の新木秀幸教育長は「調理員の方からも(購入の)要請があったと(栄養士が)話している」と述べたが、調理員の現役4人と退職者3人については、現段階で被害弁済を求めない方針だ。
一方、組合は、該当期間に給食費を支払った“受給者”に流用分を返金したい考え。対象は推定で約1万2000人おり、事務手続きや費用面など実現へのハードルは高い。
同組合には、維持費、人件費として、構成3町の負担金(公費)が投入されている。本年は予算総額1億6700万円のうち、負担金が9600万円を占める。公費が投入されているだけに、住民の間からは「受給者に返金」という手法に疑問の声が上がっている。
同委員会での解明作業が進めば、被害額が増減することも想定される。新たに分かった被害額の弁済手法や“受給者”への返金の是非も含めて、委員会で詳しく論議される方向だ。 同委員会は江差町役場で8日午後2時から開かれる。報道陣に公開するのは冒頭のみで、会合の様子は非公開としている。
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