大間原発の建設再開、電源開発が市長に説明
update 2012/10/2 10:51
電源開発(東京)は1日、工事を中断していた大間原発(青森県大間町)の建設を再開したと発表した。同社の渡部肇史常務が同日午後、函館市役所を訪れ、工藤寿樹市長に工事再開を説明。大間原発の重要性や安全性を強調する事業者と、「原発の安全神話は崩壊した」(工藤市長)として建設凍結を求める市側との話し合いは平行線に終わった。
昨年の東京電力福島第一原発事故以降、着工済みの原発の建設再開は初めて。この日は渡部常務のほか、楠瀬昌作大間現地本部長代理と、阿部健大間原子力建設所所長代理の3人が訪れた。
渡部常務は、工事再開について政府の「革新的エネルギー・環境戦略」の決定を踏まえ、「建設中の原発の取り扱いが明確になり、事業者として(工事再開を)判断する材料がそろった」と述べ、大間原発を「最新鋭の技術を適用し、安全性、信頼性が高い」と説明した。
これに対し、工藤市長は「極めて遺憾で、拙速な再開に断固反対する」と述べ、30`圏内の自治体の同意や、函館での説明会開催などで住民理解を得るべきだと主張。国の設置許可については「福島原発事故以前の安全神話に基づいたもの」として、事故後の新基準の安全対策を求めた。
一方、新たな原発の必要性について渡部常務は「化石燃料や再生エネルギーにすべて頼るのは難しく、今後も一定量の原子力は必要」と強調し、「大間は最新鋭の技術に基づいて造り、サイクル政策なども堅持した上でやっていく」と語った。
工藤市長は国際海峡の津軽海峡は領海が狭く、あらゆる船が往来できることを危惧し、「テロ対策など日本の安全保障上も問題がある。本当に安全であればエネルギーの送電ロスの少ない消費地の首都圏につくればいい」と、本州最北端の立地にも疑義を呈した。
会談後の記者会見で、工藤市長は「これまで原発の安全神話を信じ、許容してきた責任は私自身にもある。このことを二度と繰り返してはならない」と脱原発をあらためて主張。15日には近隣自治体の首長や議長らと上京し、政府などに抗議文を手渡し、同社には今回の質疑への回答を求める。
同社の渡部常務は会談後、報道陣の取材に対し「真摯(しんし)に受け止めたい」と話したが、「市長への説明でお話しした通り」と述べるにとどまった。大間原発の工事進捗(しんちょく)率は37・6%で、昨年3月の東日本大震災後に工事を中断していた。
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