【インサイド】新函館―小樽の並行在来線、函館「経営不参加」で波紋広がる

update 2012/2/29 10:15


 北海道新幹線の札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される函館―小樽間(253キロ)のうち、新函館(仮称)―小樽間(235キロ)に関し、函館市は経営参画に否定的な見解を示している。この区間については「沿線自治体ではない」とし、函館―新函館間(17.9キロ)の第3セクター鉄道のみ経営に参加する意向だが、新函館―小樽間の経営形態も決まっていない段階とあって、沿線自治体や道からは困惑や反発の声が上がっている。

 20日に開かれた市議会総務常任委員会。渡辺宏身企画部長は「新函館以北は沿線自治体ではないので、経営に参画するには当たらない」とのスタンスを説明した。

 函館市の主張の背景には、函館―小樽の全区間への経営参加によって多額の財政負担が生じることへの懸念に加え、新函館駅を境とした「路線の性格の違い」が見受けられる。

 工藤寿樹市長は昨年12月、札幌延伸を望む他の沿線自治体に配慮する形で、商工会議所や町会などの反対を押し切って経営分離に同意した。新函館開業時の函館―新函館間の電化と、3セク移行後のJR北海道の運行受託を評価しての判断だった。

 一方で、工藤市長は昨年12月の同意会見で「他地域の在来線は新幹線ができることで乗客が大幅に減る。人口が減るとますます乗客が少なくなるが、新駅―現駅は新幹線が来ることで、今まで以上に利用客が増える可能性がある。他の地域の3セクとは違う」と話していた。

 また函館―新函館間と新函館以北の在来線を一体的に運営した場合、函館―新函館間のみの運営に比べて赤字が多額となることは避けられない。ある函館市議は「市のスタンスは当然の対応」と評し、その上で「人口割や財政割となると、函館は大きな負担を強いられる。納得いかない」と話す。

 しかし、沿線の全15市町のうち、最大の自治体である函館市の経営関与が函館―新函館間に限定された場合、財政基盤の弱い他の自治体にとっては死活問題となる。

 七飯町の馬場修一副町長は「真意が分からないため、コメントする立場にはない」とし、鹿部町の高橋利之副町長もコメントはないとしつつ「なぜ(新幹線着工の正式認可が迫った)この時期なのかは分からない」と困惑。八雲町は「協議をこれから始めようという段階での発言は残念。前向きに考えてほしい」(新幹線対策室)とする。

 各市町からは、函館市に中核都市としての姿勢を求める声も。高谷寿峰北斗市長は「道南の中核都市としての意識より、自分たちの財政しか考えていないと受け取れる」、佐藤克男森町長は「我々の先輩が札幌延伸に向けて苦労してきた中で、延伸阻止との誤解も生むような発言で意図やタイミングが分からない。渡島各町の発展は函館の発展があってこそ」と話す。白井捷一長万部町長も「課題を協議する前の段階で、3セク経営に参画しないと結論付けるのは大いに疑問。もう少し広域的な視点で、道南の中核都市としての対応を願う」としている。

 政府は本年度内にも札幌延伸を正式に認可する方針で、認可後に道はただちに沿線15市町との協議会を設置して検討に入るが、現在の段階では全区間で3セク会社を設立するのか、新函館を境に3セク会社を分離するかなど、地域交通確保の方策は決まっていない。札幌延伸は23年後とまだまだ先。道新幹線対策室は「認可決定後に協議会を立ち上げ、沿線自治体と話すことしか現在は決まっていない」と話す。

提供 - 函館新聞社


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