重文「旧函館区公会堂」「太刀川家」改修へ

update 2011/4/17 12:39


 函館市は本年度、国の重要文化財(重文)に指定されている旧函館区公会堂(元町11)と、太刀川家住宅店舗(弁天町15)の大規模改修に乗り出す。いずれも築100年を超えて建物の傷みが目立つため、市は計約1000万円の予算を計上。東日本大震災に伴う被害もなく、西部地区の歴史的な建造物が装いを新たによみがえる。

 市教委によると、公会堂は函館大火で焼失した町会所に代わる施設として、1910(明治43)年に完成。木造2階建てで、灰色と黄色の塗装が特徴的な和洋折衷の建築様式だ。74年に重文に指定され、80〜82年には3億5500万円をかけて部分解体を含む大規模改修が行われた。

 しかし、現在は外壁のはがれや柱の腐食、雨漏りが目立ち、市は本年度、500万円かけて約30年ぶりの大規模改修に向けた本格調査に着手する。6月ごろから専門業者が外装を中心に内部構造の傷み具合をチェックし、2012年以降、国が50%、道と市が25%ずつ負担し、修復作業を進める。

 一方、太刀川家は米穀商や漁業を営む初代太刀川善吉が1901(明治34)年に建築。土蔵造り2階建ての建物は両端に窓がなく、防火対策に優れていて、正面には3連のアーチを設けるなど洋風のデザインも取り入れている。71年に重文指定を受けた。

 現在は6代目の善一さんが所有し、2009年から1階をカフェとして活用しているが、壁の漆喰(しっくい)がはがれ、屋根瓦に一部破損している状態。大がかりな改修は台風被害を受けた04年以来7年ぶりで、本年度に着工する。総事業費約1900万円のうち、市は国の補助金や所有者の負担金を除いた約500万円を予算付けした。

 市教委文化財課は「震災の被害を受けずに当初の計画通り進められる。公会堂は西部地区のランドマーク的な存在で、太刀川家も一つの街並みを形成している。どちらもきれいにお色直しして長く後世に残していきたい」としている。

提供 - 函館新聞社


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