「箱館奉行所」29日から公開

update 2010/7/25 11:26

 国の特別史跡「五稜郭跡」内に函館市が2006年から復元工事を進めてきた「箱館奉行所」が29日、オープンする。当時の古写真や絵図面を基に忠実に再現され、姿や形だけでなく往時の威厳も備える。同奉行所を守るために築かれた五稜郭が140年ぶりに“主”を迎え、本来の姿で函館の歴史・文化の新たな発信基地となる。

 復元工事は4年の工期を経て、6月30日に完了。総工費は約28億円。幕末当時、約2700平方メートルあった同奉行所の3分の1に当たる約1000平方メートルを復元。残りの部分は、建物が存在した部分の地面に線を引き、当時の規模を表した。

 建物は発掘調査結果などを基に、スギやヒバ、ヒノキなど使用した材質をはじめ、部屋の間取り、約3万8000枚の瓦の枚数まで検証。細部まで忠実に復元することにこだわり抜いた、道内最大級の木造建築物だ。

 内部の見学コースは、それぞれ見どころの違う5ゾーンに分類されている。風格のある玄関周辺の「ガイダンス」では建物案内映像を流す。続く「再現ゾーン」では、外国領事との会談や年中行事など限られた時に使用された72畳の大広間がある。

 中庭を挟んだ「歴史発見ゾーン」は同奉行所と五稜郭の歴史をパネルなどで紹介するほか、天井板を外して伝統的な小屋組みを見せる。「映像シアター」では歴史や復元工事の様子をハイビジョン映像で紹介し、「建築復元ゾーン」は発掘や古文書の調査結果、日本の伝統的建築様式で建設した同奉行所の構造など説明する。

 函館市教育委員会の多賀谷智教育長は「奉行所の建設は函館市民の悲願。建設に向け尽力したすべての人に感謝の気持ちでいっぱい」と振り返り、「次代を担う子どもたちが歴史や文化を学ぶ場になってほしいし、地域の活性化に結びついてくれれば」と期待を寄せている。

提供 - 函館新聞社




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