五稜郭跡を世界遺産に…市内で活動じわり
国の特別史跡「五稜郭跡」(函館市五稜郭町)を世界遺産に登録しようという動きが出てきた。五稜郭設計の手本と言われるフランスのヴォーバン建築群が、今年7月に世界遺産に登録されたことがきっかけで、活動の先頭に立つ総合施設「旭ケ岡の家」(市内旭岡町78)のフィリッポ・グロード理事長は「五稜郭が様式的にも歴史的にも世界的価値を持っていることを、多くの人たちの協力を得ながら訴えていきたい」と話している。
世界遺産に登録されたヴォーバン建築群は、ルイ14世時代に活躍した天才建築家ヴォーバン(1633―1707年)が設計し、フランス国内に建築した城や要塞など合わせて12カ所。この設計様式は世界各国に波及し、五稜郭を設計した武田斐三郎(1827―1880年)はオランダ語で書かれた書物を通じて学んだとされている。登録された建築物の中には六角形や八角形の星型城郭が含まれており、五稜郭がヴォーバン様式の伝統を受け継いでいることを示している。
フランス出身で、五稜郭を舞台にした野外劇の生みの親でもあるグロード理事長は、ヴォーバン建築群の世界遺産登録を知り、すぐに現地のヴォーバン協会に五稜郭の写真や資料などを送付。アラン・モンフェラン会長からは「ヴォーバンの様式を受け継いだ素晴らしい城郭が地球の裏側に残っていることに感激した。五稜郭の世界遺産登録に協力したいので、近いうちに必ず函館を訪れたい」と返答がきた。
これを受け、グロード理事長は本格的な活動を開始。文部科学省や文化庁、フランス大使館などに資料を送付するとともに、元パリ市長の旧友を通じて、世界遺産登録を審査するパリのユネスコ本部にもアプローチしている。
地元での活動の盛り上がりも重要な課題だが、すでに五稜郭タワーや道教育大と連携して、ヴォーバン建築群と五稜郭との関係を紹介したカラーパネルを製作しており、近日中に同タワー内での展示を予定している。
グロード理事長は「築城から約150年余と歴史の浅い五稜郭だが、ヴォーバン様式としてほぼ完全な形が残っている世界的にも極めて珍しい例」とし、「江戸から明治への歴史の転換点となった重要地点として、文化的価値が高いことも評価のポイントにつながる。函館とフランスで協調にながら、登録へ向けた努力を積み重ねていきたい」と話している。
提供 - 函館新聞社
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