五稜郭「設計図」と「平面図」2点 市の文化財に
函館市教育委員会は8日に開いた会議で、「五稜郭初度設計図」(市立函館博物館蔵)と「五稜郭平面図」(函館市中央図書館蔵)の2点を、歴史資料として函館市の文化財に指定した。市の文化財としては85、86件目で、五稜郭関係の図面としては初めての指定となる。市文化財課の田原良信課長は「両方とも五稜郭の成り立ちや遺跡発掘などの観点から重要な資料で、これをもとに作られたことは間違いない」と説明する。
どちらも紙に描き彩色し、軸装の状態で保管されている。作成された年代は測量を開始した1857年以前と考えられているが、定かではない。五稜郭初度設計図は、伝えられたいきさつなどから、五稜郭を設計した蘭学者の武田斐三郎の直筆と考えられる。武田が残した記録では、フランス軍艦の将官から直接学び、設計したとされる。
図面には、実際に作られた五稜郭の外側には1つしかない半月堡塁(ほうるい)が5つあることなどから、計画初期の段階の草稿図面だった可能性が高い。指定理由として「五稜郭が築造された歴史的経緯を示すものとして極めて価値が高く、国内に現存する数少ない西洋式土塁の築造変遷を物語る第一級資料」と位置付けた。
五稜郭平面図は、発掘や復元作業を進める箱館奉行所庁舎や、そのほかの郭内遺構の場所を特定する手掛かりとして活用されている。土塁など全体の形状や規模は、現代の実測図面と重ねても差異が少なく、奉行所など建築物の長さなど規模のデータも入っている。こちらに描かれた半月堡塁は1つ。指定理由として「得られる情報量が圧倒的に多く内容の精度が高い」ことが評価され、「五稜郭跡の復元整備を進める上で欠くことのできない第一級の根拠資料」とされた。
提供 - 函館新聞社
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