原油高騰で昼にイカ漁

update 2007/9/1 11:32

 【江差】いさり火が消える?―。スルメイカ漁が最盛期を迎える桧山管内の日本海沿岸では、鮮度維持や長引く石油価格高騰などの影響で、日没前の明るい時間帯から漁を始めたり、集魚灯を利用せずに漁を行う漁船が増えてきた。江差港では従前、多くの漁船が夕方から出港し、日没後の日本海は白銀色の集魚灯で彩られていた。だが、今年の江差沖では海面を照らした“いさり火”は数を減らし、漁船の出漁時刻も早まっている。

 道内外のイカ釣り漁船の拠点となっている江差港。現在では多くの船が午後1時前後に出港する。同3時すぎに漁場へたどり着き、夜遅くまで漁を行って帰港する。発泡スチロール製の魚箱に詰めた新鮮なイカは、夜明けを待たずに函館市に出荷される。ひやま漁協江差支所は「生食用として鮮度を維持してできるだけ早く出荷するため、漁を開始する時間も早まってきた」と話す。

 明るい時間帯に行われる桧山沿岸の昼イカ漁は「かんどり」と呼ばれ、もともと漁期解禁後の早い時期に一部の漁船で見られた。しかし今年は、最盛期となっても明るい時間帯からの漁が主流。桧山管内では漁業者の高齢化も進んでおり、「早朝まで漁を行ってきた時期より体力の消耗が少ない」との声もある。

 日没前のイカ漁が可能になった背景には「魚群探知機(ソナー)の高性能化がある」(江差町産業振興課)。高性能のソナーで、海中に潜むイカの魚群の分布を正確にとらえることができるようになった。漁業者はかじを片手にソナーの画面をにらみ、魚群の反応があると船を止め、イカ釣りロボットで反応があった深さに針を下ろす。「魚群の深さに正確に針を下ろすと夜間と同じようにイカを釣ることができるようになった。ソナーの性能で漁獲量に差が出るようになった」(ある漁業者)。だが、高性能なソナーは高価で、漁業者に広く普及するにはまだ時間がかかりそうだ。

 一方、長引く原油価格の高騰は、燃料や魚箱など石油製品の価格上昇をもたらし、漁業者の経営に深刻な打撃を与えている。このため「日没前に漁を始めると燃料の節約になる。集魚灯を使うためには常にエンジンを回さなければならない。高価な集魚灯の消耗を防ぐこともできる」(漁業者)という。

 漁業者共通の願いである燃料費の節約は、桧山沿岸の「光の光景」をも変え始めている。

提供 - 函館新聞社



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